ムニンシャシャンボ

ムニンシャシャンボ（無人子子ん坊）

ムニンシャシャンボ（学名：Vaccinium boninense）はツツジ科スノキ属に属する常緑低木であり、別名をオガサワラシャシャンボとも呼ばれています。この植物は日本の小笠原諸島、特に兄島、父島、母島、向島の岩場に自生している固有種です。ムニンシャシャンボは高さ約1メートルに成長し、見た目には柔らかい毛で覆われた若い茎が特徴的です。これらの毛は成長とともに残ることがあり、触るとややざらつきを感じます。

特徴

葉は互生し、楕円形または広楕円形で、長さは1.8～4cm、幅は1～2.5cmです。葉の先端は尖っており、縁に浅い鋸歯があることもありますが、全体としては平滑な印象も与えます。葉の両面には毛がなく、葉柄はそれほど長くはなく、長さが1～2mm程度で短い毛が散在しています。

花の開花時期は1月から4月であり、花序は4～6cmの長さに成長します。この花序は上部の枝の葉腋から出て、多数の白色の花をつけます。苞葉は葉に似ており、長さは1～2cmと花柄よりも長めです。花柄は5～9mmの長さで、短い毛が密生しており、広卵形の小包葉も見られます。

花自体は広鐘形の萼筒を持ち、先端は5裂する構造をしています。裂片は狭い三角形の形をしており、長さは約2mmです。また、花冠は約8mmの長さを持ち、やや狭まりつつも5裂しており、その外側には短い毛が生えています。雄蕊は10本あり、葯の背面には短い突起が存在しています。果実は直径約6mmの球形で、熟すと黒色になります。

分布と生育環境

ムニンシャシャンボは小笠原諸島の特有種であり、主に岩場に生育しています。この厳しい環境の中でも生き抜くことができる能力を持った植物です。名前の由来は、小笠原諸島の「無人島」（Munin-Sima）から来ており、島特有の生態系の一部を形成しています。

保全状況

現在、ムニンシャシャンボは環境省のレッドリストで絶滅危惧II類（VU）に位置づけられています。このことからも明らかなように、この植物は保護が必要とされています。開発や生態系の変化により、その生息地が脅かされつつあるため、適切な保護対策が求められています。

参考文献

この植物に関するさらなる情報を得るためには、次の文献が参考になります。佐竹義輔他編の『日本の野生植物 木本II』（1989年、平凡社）や、牧野富太郎原著の『新牧野日本植物圖鑑』（2008年、北隆館）などです。また、米倉浩司・梶田忠による「BG Plants 和名−学名インデックス」も、最新の情報源として信頼性があります。環境省の生物多様性システムも重要な情報を提供しています。

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