ムハンマド・ユーヌス・ハーリス

ムハンマド・ユーヌス・ハーリスの生涯

ムハンマド・ユーヌス・ハーリス（1919年 - 2006年7月19日）は、アフガニスタンの政治家であり、ムジャーヒディーンの指導者として重要な役割を果たしました。一般的には、ユーヌス・ハーリスとして知られています。彼は、グルブッディーン・ヘクマティヤールの率いるイスラム党から分裂し、ヘズブ・エ・イスラミ・ハーリス（イスラム党・ハーリス派）を設立し、その党首を務めました。

生い立ちと宗教活動

ハーリスは、ナンガルハール州のフグヤニ郷デヘ・カジ村で生まれ、パシュトゥーン人のフグヤニ部族出身です。彼の家族は世襲の回教僧であり、彼自身も父親から宗教教育を受けました。その後、ナンガルハールのメドレセやモスクで院長を務め、宗教指導者としてのキャリアを積みました。

1951年には、イスラム組織「記憶の教育」に参加し、1963年から1973年まで宗教組織「タヴヴァビン」の指導者となりました。また、1965年からは「パイヤメ・ハック」誌、「ヴランガ」、そして「ガヒズ」紙の編集員として、詩作を発表したり、カーブル・ラジオに出演したりするなど、多岐にわたる活動を行いました。

政治活動と亡命

1973年からは、クナルハとパクティヤー州のモスクでイマームを務め、自身が設立した「パシュトゥーン・ムスリマン」を通じてムハンマド・ダーウード政権を批判しました。1970年代中盤には、反政府プロパガンダに関与したとして彼の息子が逮捕され獄死するという悲劇に見舞われました。

ハーリス自身は逮捕を逃れるためにパキスタンへ亡命し、「アフガン・メッリャト」党に合流しました。1978年からは、ヒズベ・イスラーミー（イスラム党・ヘクマティヤール派）に参加し、同党の東部戦線を指揮してソビエト軍との戦いに加わりました。

独立とムジャーヒディーンとしての活動

1979年末、ハーリスはグルブッディーン・ヘクマティヤールと決別し、自身のアフガニスタン・イスラム党（ハーリス派）を創設しました。1985年には、パキスタンで結成された「七者連合」の議長を3ヶ月間務めました。1988年には、ソビエト軍撤退前にパキスタンで組織されたムジャーヒディーン移行政権の内務大臣に任命されました。

ターリバーン運動への参加と晩年

2001年、ハーリスはターリバーン運動に参加し、アメリカ軍に対するジハードを呼びかけました。その後、アフガン・パキスタン国境に逃亡し、ターリバーン政権を支持していましたが、2001年末にはザーヒル・シャー元国王が提案した和平調停案を支持する立場を表明しました。

人物像と家族

ハーリスはパシュトゥーン人民族主義者として知られ、フグヤニ部族の中で大きな権威を持っていました。彼はイスラム共和制の支持者であり、その政治的立場は一貫していました。彼の妻は、カンダハールの宗教権威であるカデリ・カンダハリの娘です。また、彼の2人の兄弟であるモハマッド・イスハークとモハマッド・ユスフ・ハレスも著名なムジャーヒディーンとして活躍しました。アフガニスタン・イスラム党（ハリス派）は、現在パキスタンに在住する彼の息子が率いているという情報もありますが、詳細は不明です。

関連人物

ハジ・アブドゥル・カディール
アブドゥル・ハク

ハーリスの生涯は、アフガニスタンの激動の歴史と密接に結びついており、彼の活動は同国における政治と宗教の複雑な関係を浮き彫りにしています。

もう一度検索