ムラサキヤシオツツジ

ムラサキヤシオツツジ（紫八汐躑躅）

概要

ムラサキヤシオツツジ（学名: Rhododendron albrechtii）は、ツツジ科ツツジ属に分類される落葉性の低木です。別名としてミヤマツツジ、ムラサキヤシオとも呼ばれます。鮮やかな濃紅紫色の花が特徴で、山地から亜高山帯にかけての自然環境で見ることができます。

分布と生育環境

北海道、本州の東北地方と中部地方の日本海側に分布しており、山地から亜高山帯の林縁や疎林内に生育します。稀に低山にも見られることがあります。早春、葉が展開する前に濃い紅色の花を咲かせるため、新緑の山中でその存在が際立ちます。美しい花姿から、庭園にも植栽されることがあります。

特徴

樹高: 1〜2メートルに成長します。
樹皮: 若い枝には淡褐色の長毛と腺毛が密生しており、後に無毛になります。樹皮は茶褐色から赤褐色で、若木の樹皮には浅い縦溝が見られますが、成長とともに薄く剥がれるようになります。
葉: 互生し、枝先に集まってつきます。葉柄は1〜3ミリ[[メートル]]と短く、淡褐色の長毛が密生しています。葉身は4〜11センチ[[メートル]]の長さで、倒卵形または楕円形をしており、先端は尖り腺状突起があります。表面には微毛、裏面には葉脈に沿って白毛が生えています。
花: 開花期は4〜6月で、葉の展開と同時か、やや先行して開花します。枝先の花芽から1〜4個の花を咲かせます。花柄には長毛と腺毛が密生しており、花冠は直径約4センチ[[メートル]]の広漏斗形で、鮮紅紫色をしています。花冠の内側上部には濃色の斑点があります。雄しべは10本あり、上部の5本は短く花糸に毛が生え、下部の5本は長く花冠の外側に伸びており無毛です。花柱は無毛で、子房には腺毛が密生しています。
果実: 蒴果で、長さ8〜10ミリ[[メートル]]の長卵形をしています。
冬芽: 枝先の頂芽は卵形で先端が尖っており、花芽は8〜10ミリ[[メートル]]です。葉芽は花芽より小さく細いです。側芽は頂芽よりも小さいです。

下位分類

ムラサキヤシオツツジには、以下の下位分類が知られています。

シロバナムラサキヤシオツツジ (Rhododendron albrechtii f. albiflorum)：白い花を咲かせる変種。
ウラゲムラサキヤシオツツジ (Rhododendron albrechtii f. canescens)：葉の裏面に毛が多い変種。

参考文献

鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽：四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社、2014年
辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社、2006年
佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本II』平凡社、1989年
茂木透 写真、高橋秀男・勝山輝男 監修『樹に咲く花：合弁花・単子葉・裸子植物』山と溪谷社、2001年

関連項目

* ヤシオツツジ

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