ムーンパトロール

『ムーンパトロール』：月面を駆け抜けるレトロシューティングゲーム

1982年、アイレム社よりアーケードゲームとして登場した『ムーンパトロール』は、その斬新なゲーム性とグラフィックで多くのゲーマーを魅了しました。プレイヤーは月面車を操縦し、迫りくる敵や障害物を避けながら、ステージクリアを目指します。

ゲームの舞台：月面

ゲームの舞台は月面。プレイヤーは月面車を操り、荒涼とした月面を横スクロールで進んでいきます。単なる横スクロールではなく、奥行きのある多重スクロール背景が採用されている点が大きな特徴です。1982年当時としては非常に珍しく、当時アイレムはこれを「立体画像ゲーム」と宣伝していました。地面の形状に沿って動く車輪の表現も、リアルな走行感を演出しています。

ゲーム性：シンプルながらも奥深い戦略性

ゲームの操作はシンプルです。月面車は常に前進し、プレイヤーはジャンプと左右移動によって敵の攻撃や障害物を回避します。ショットは前方と真上方向に発射でき、敵のUFOや岩を破壊することでスコアを獲得できます。

ステージは「ビギナーコース」と「チャンピオンコース」があり、それぞれA地点からZ地点まで進んでいきます。各地点をクリアするごとにステージが変わり、難易度も上昇します。チャンピオンコースはさらに複数ループがあり、高いスコアを目指すには熟練のテクニックと戦略が必要です。各コースには基準タイムが設定されており、制限時間内にクリアすることでボーナス点が加算されます。

難易度とスコア

ビギナーコースとチャンピオンコースでは、各セクション（A～E、E～J、J～O、O～T、T～Z）のクリアタイムによってボーナス点が異なります。ビギナーコースでは、A～E、E～J間のクリアタイムが80秒以内、J～O、O～T、T～Z間のクリアタイムが100秒以内だと1000点のボーナスが加算され、チャンピオンコースではA～E、E～J間のクリアタイムが100秒以内、J～O、O～T、T～Z間のクリアタイムが120秒以内だと2000点のボーナスが加算されます。さらに、基準タイムを下回った分に応じて、1秒につき100点のボーナスが加算されるシステムも採用されています。

家庭用ゲーム機への移植

アーケード版の成功を受け、『ムーンパトロール』は様々な家庭用ゲーム機に移植されました。1983年にはMSX、PC-8001mkII、1984年にはMSXなどに移植され、その後もApple II、Atari 2600、TI-99/4A、IBM PC、コモドール64、ゲームボーイカラーなど、多くの機種でプレイ可能となりました。ハードウェアの性能差によってグラフィック表現は異なりましたが、各機種で独自の工夫が凝らされ、それぞれのハードウェアを最大限に活かした移植が行われました。特にMSX版は、ハードウェアの性能制限がある中でも多重スクロールを再現した点が評価されています。

アーケードアーカイブスでの復活

近年では、ハムスター株式会社が運営するアーケードアーカイブスシリーズの一環として、PlayStation 4|PlayStation_4とNintendo Switchで配信されています。現代のハードウェアで、往年の名作を改めて楽しむことができます。

『ムーンパトロール』は、シンプルな操作性と奥深いゲーム性、そして当時としては画期的なグラフィックで、今もなお多くのゲーマーを魅了し続けている名作です。

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