メガネモチノウオ

メガネモチノウオの概要

メガネモチノウオ（学名：Cheilinus undulatus）は、スズキ目・ベラ科に属する魚類であり、ベラ科の中でも最大の種です。この魚は主にインド太平洋の熱帯地域に生息しており、特に南西諸島の海域に多く見られます。別名として「ナポレオンフィッシュ」とも呼ばれることから、その独特な姿勢から生まれた愛称があることがわかります。

特徴

この魚のオスは全長が2メートルを超えることもあり、最大の記録として229センチメートル、体重191キログラム、そして年齢は32歳に達した個体が報告されています。体形は平たい側扁型で、体高があり、頭部が大きく発達しています。特に吻が長く、厚い唇と大きな口を持ち、目から口にかけて帯状の模様が流れるのが特徴です。

幼魚やメスは水色と黄白色の地色を持ち、藍色の模様が目を引きますが、成長するにつれてオスは黄褐色や青緑色に変わり、頭の部分が特に大きくなり、顕著な瘤を形成します。このように、メガネモチノウオの外見は成長段階に応じて大きく異なるのです。「メガネモチノウオ」という和名は、目を通る黒いラインがまるで眼鏡をかけているように見えることに由来しています。

生態

メガネモチノウオは、中央太平洋からアフリカ東岸にかけて、熱帯の海域に広く生息していますが、日本でも南西諸島や和歌山県で確認されています。浅い海にある岩礁やサンゴ礁を好み、繁殖期には群れを作ることがありますが、普段は単独で過ごします。主に昼行性で、海底近くを泳ぎ回りながら、小魚や貝類などを捕食します。夜間は岩の陰に身を潜めて休息します。

その大きさから、海外の水族館でも人気の展示魚として知られています。飼育されたメガネモチノウオは比較的人懐っこく、ダイビングの場でも観察されることが多く人気がありますが、野生の個体は餌付けされていない限り、警戒心が強く接近は難しいです。

利用

メガネモチノウオはその肉質が白身で脂肪も適度に乗っており、非常に美味とされています。そのため、分布地域では高級魚として珍重されており、沖縄では「ヒロシー」や「ヒロサー」と呼ばれ、香港では「蘇眉」として親しまれています。特に幼魚は肉厚で蒸すと非常に柔らかく、トロリとした食感が楽しめます。

保全状況

最近では乱獲やサンゴ礁の破壊により、メガネモチノウオの個体数が急激に減少しています。IUCNレッドリストでは2004年以降、絶滅危惧種に指定されており、各国で保護措置が求められています。香港では食用とすることを控えるよう呼びかける声もあり、国際的な取引の制限を示すワシントン条約にも対象種として掲載されています。これらの保全活動が、この美しい魚を未来に残すために不可欠です。

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