メタモーフォシス

ローリング・ストーンズ『メタモーフォシス』：秘蔵音源が織りなす、ストーンズの歴史の一片

1975年、アブコ・レコードよりリリースされたローリング・ストーンズのコンピレーション・アルバム『メタモーフォシス』(Metamorphosis)は、バンドの初期、デッカ・レコード在籍時代の未発表音源を収めた、まさに秘蔵音源集と言える作品です。プロデューサーにはアンドリュー・ルーグ・オールダムとジミー・ミラーが名を連ねています。アメリカでは8位、イギリスでは45位というチャート成績を収めました。

このアルバムの発売は、アブコの代表者であり、ストーンズのデッカ時代の楽曲著作権を所有していたアラン・クレインの戦略的な側面が色濃く反映されています。同時期には、ストーンズのプライベートレーベルであるローリング・ストーンズ・レコードからベスト盤『メイド・イン・ザ・シェイド』も発売されており、戦略的なリリースが窺えます。

収録されている楽曲は、ブライアン・ジョーンズとミック・テイラーが在籍していた時代のもの。そのため、アルバムのジャケットには、ジョーンズとテイラーが共に写っているイラストが使用されており、これがこのアルバムの大きな特徴の一つとなっています。ジョーンズ期とテイラー期の楽曲を同時に収録した作品は他にもありますが、2人がジャケットに揃って登場する公式作品は、1977年の『30 Greatest Hits』（日本では『偉大なる軌跡』）以外にはほとんど存在しない、非常に珍しいものです。

ライナーノーツは、ストーンズの初期マネージャー兼サウンドプロデューサーとして知られるアンドリュー・オールダムが担当。彼の視点から見た、ストーンズ初期の歴史を垣間見ることができます。

アルバムからは、「アイ・ドント・ノウ・ホワイ／トライ・ア・リトル・ハーダー」（全米42位）が先行シングルとして、「アウト・オブ・タイム／ジャイヴィング・シスター・ファニー」（全英45位、全米81位）がリカット・シングルとしてリリースされました。なお、アメリカ盤では「スティック・イン・ユア・マインド」と「ウィーアー・ウェイスティン・タイム」が除かれ、全14曲という構成となっています。

長い沈黙を経ての再発

LP盤が生産終了となってからは長らくCD化されませんでしたが、2002年、アブコよりデッカ時代のストーンズアルバム22作品がリマスターされ、ハイブリッドSACDとして再発された際に、本作もそのラインナップに加わりました。この際、全世界共通でUKオリジナル版と同じ全16曲が収録されることとなり、長らく幻の作品であった多くの楽曲がようやくCDで日の目を見ることとなりました。ただし、既に1989年のコンピレーション・アルバム『シングル・コレクション (ザ・ロンドン・イヤーズ)』に収録されていた4曲のシングルを除けば、CD化は初となります。

収録楽曲の詳細

アルバムには、様々なセッションで録音された、未発表のデモ音源や、シングルとは異なるヴァージョンなどが収録されています。中には、ミック・ジャガー以外のストーンズメンバーが参加していないものや、ジミー・ペイジ、ジョン・マクラフリンといったゲストミュージシャンが参加しているものなど、多様な楽曲が詰め込まれています。これらの楽曲一つ一つに、ストーンズの歴史が刻まれていると言えるでしょう。具体的な収録内容については、下記に詳細な説明があります。

(以下、収録曲の解説を記載。スペースの都合上、省略)

参加ミュージシャンとスタッフ

このアルバムには、ローリング・ストーンズのメンバーはもちろんのこと、数々のゲストミュージシャンも参加しています。ジミー・ペイジ、ジョン・マクラフリンといった著名なミュージシャンが、ストーンズ初期の音作りに貢献しています。また、プロデューサーとしてアンドリュー・ルーグ・オールダムとジミー・ミラー、そしてアートディレクションに関わったスタッフらの名前も忘れてはなりません。彼らの貢献なくしては、このアルバムは存在しなかったでしょう。

まとめ

『メタモーフォシス』は、単なるコンピレーション・アルバムではなく、ローリング・ストーンズの初期の歴史を深く理解するために欠かせない、貴重な資料と言えるでしょう。彼らの初期の音楽的探求、そして様々なセッションの様子を垣間見ることができる、ファンにとってまさに垂涎の的と言える作品です。未発表音源や別ヴァージョンなどを聴くことで、ストーンズの音楽への理解をさらに深めることができるでしょう。このアルバムは、彼らの音楽史における重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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