メヘラーバード国際空港

メヘラーバード国際空港は、イランの首都テヘランにかつて存在した主要な空港です。ペルシア語では「فرودگاه بین المللی مهرآباد」（Forūdgāh-e Beinol-melalī-ye Mehrābād）と表記されます。長らくテヘランの空の玄関口として機能していましたが、2004年にエマーム・ホメイニー国際空港が完成したことで、国際線の大部分がそちらに移管されました。しかし、メヘラーバード空港は、テヘラン都心部からのアクセスが非常に良く、現在でも国内線を中心に利用されています。

空港内には、イラン航空、イラン・アーセマーン航空、サーハー航空など、イランを代表する航空会社の整備拠点があります。また、空港に隣接して航空機整備会社であるファジュル・アーシヤーン社のハンガーがあり、空港とは高速道路を横切る誘導路で繋がっています。ファジュル・アーシヤーン社は、イラン航空やマーハーン航空をはじめとする多くの航空会社の機材整備を担っています。

エマーム・ホメイニー国際空港への国際線移転は段階的に行われました。当初はペルシア湾岸諸国への便から移転が始まり、現在ではサウジアラビアへの巡礼便を除くほぼ全ての国際線が、エマーム・ホメイニー国際空港に移っています。日本語では、英語表記の転訛によって「メーラバド国際空港」と表記されることもあります。

メヘラーバード空港の特徴として、南東東から北西西方向へ伸びる滑走路（11R/29L・11L/29R）には、2％の勾配が存在することが挙げられます。このため、アプローチの方向によっては、着陸時に地面との角度がきつく感じられることがあります。

空港ターミナルは以下の通りに分かれています。

ターミナル1: かつて国際線の発着に使用されていましたが、国際線の移転に伴い閉鎖されました。
ターミナル2: 国内線の発着と貨物便に使用されています。2008年1月21日まではイラン航空の国際線も一部発着していましたが、エマーム・ホメイニー空港へ移転しました。
ターミナル3: イラン空軍が使用しています。
ターミナル4: 国内線用として使われていましたが、ターミナル2の混雑を緩和するために、イラン航空とイランエアツアーズの国内線が移転してきました。
ターミナル5: ハーッジ・ターミナルとして、巡礼便に使用されています。ジッダ便とマディーナ（メディナ）便が発着し、イラン航空、マーハーン航空、サウジアラビア航空が利用しています。
ターミナル6: 政府専用として使用されています。以前は国内線到着用ターミナルとして利用されていました。

かつては、多くの国際航空会社が就航していましたが、エマーム・ホメイニー国際空港の開港に伴い、ほとんどの路線がそちらに移転しています。

メヘラーバード国際空港では、過去にいくつかの事故や事件が発生しています。

2005年4月20日には、サーハー航空のボーイング707が着陸時に機体の一部が爆発し、滑走路を外れて川に転落する事故が発生し、3名が死亡しました。
2005年6月19日には、ムンバイからアムステルダムへ向かっていたノースウエスト航空のDC-10が貨物室での火災警報を受けてメヘラーバード空港に着陸しましたが、これは誤報でした。しかし、この着陸は、イラン革命後初めてアメリカの大型旅客機がイランに着陸した事例となりました。
2005年12月6日には、イラン空軍のC-130ハーキュリーズが離陸直後にテヘラン市街地に墜落する事故が発生しました。
2008年1月2日には、シーラーズ行きのイラン航空のフォッカー100が離陸時に翼の一部が炎上し、車輪が外れる事故が発生しましたが、幸いにも負傷者はいませんでした。
* 2014年8月10日には、タバス行きの旅客機が離陸直後に空港周辺の住宅地に墜落し、乗員乗客48名のうち39名が死亡するという痛ましい事故（セパハン航空5919便墜落事故）が発生しました。

メヘラーバード国際空港は、イラン・イラク戦争時にも、多くの外国人が国外脱出のために利用した空港としても知られています。また、この空港を舞台にした日本とトルコの合作映画「海難1890」も制作されています。

空港の公式サイトや、A-Z World Airportsなどの外部サイトでより詳しい情報を確認できます。

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