メモリースティックビデオ

メモリースティックビデオとは

メモリースティックビデオは、ソニーが開発したメモリースティックに映像コンテンツを記録・再生するための規格の総称です。大きく分けて、個人が撮影した映像などを扱う「メモリースティックビデオファイルフォーマット」と、デジタル放送などの著作権保護が必要な映像を扱う「メモリースティックセキュアビデオファイルフォーマット」の2種類があります。

本稿では、これらの規格に加え、事実上の前身規格である「モバイルムービー形式」についても詳しく解説します。

モバイルムービー形式

概要

モバイルムービー形式は、2003年にソニーが策定した、メモリースティック上で映像コンテンツを扱うためのアプリケーションフォーマットです。映像コーデックにはMPEG-4 Advanced Simple Profile、音声コーデックにはMPEG-4 AAC LCを使用し、コンテナフォーマットにはAppleのQuickTimeを採用していました。

この形式では、ソニーのテレビ「WEGA」やパソコン、専用レコーダーなどでメモリースティックに録画した映像を、PDA「CLIE」や対応携帯電話などで視聴することができました。しかし、著作権保護技術は搭載されておらず、録画できるコンテンツはアナログテレビ番組など、著作権保護の必要がないものに限られていました。

モバイルムービー形式は、当初こそ対応機器が広がったものの、PlayStation Portable（PSP）の登場を機に、後述するメモリースティックビデオ形式に取って代わられ、わずか1年で規格が打ち切られました。ソニーは打ち切りの理由を明言していませんが、セキュアコンテンツに対応するにあたり、QuickTimeコンテナがApple製であることが、ソニーの著作権保護技術との整合性が取れなかったことや、ライセンス契約の問題が指摘されています。

対応機器

テレビ（録画・再生対応）:
KDE-P61/50/42HX2N
KDE-P61/55/50/42HX2
KDE-P42/37/32HV2
KDL-L32/26/23RX2
KDL-L42/32/28HX2
KD-36/32/28HR500, 28HR500B
レコーダー（録画専用）:
PEGA-VR100K
モバイルビューアー（録画・再生対応）:
MSV-A1
CLIE（再生専用）:
PEG-NX80V/73V/70V/60
PEG-NZ90
PEG-TG50
PEG-TH55/TH55DK
PEG-TJ37
PEG-UX50
携帯電話（再生専用）:
NTTドコモ: SO506iC, SO505iS
au（KDDI／沖縄セルラー電話）: W21S, A5404S
PC用変換ソフトウェア:
ImageConverter 1.x

メモリースティックビデオファイルフォーマット

概要

メモリースティックビデオファイルフォーマットは、2004年11月にソニーが策定した、メモリースティック上で映像コンテンツを扱うためのアプリケーションフォーマットです。「メモリースティックビデオフォーマット」とも呼ばれます。

映像コーデックにはMPEG-4 Advanced Simple ProfileおよびH.264/MPEG-4 AVC（Baseline Profile、Main ProfileおよびHigh Profile）、音声コーデックにはMPEG-4 AAC LCを使用し、MP4をベースにuuid boxにコーデック情報などを付加した独自のコンテナフォーマットを採用しています。H.264/MPEG-4 AVCは後から追加されたものであり、機器によっては再生できない場合があります。

従来のモバイルムービー形式に代わってCLIEで採用され、その後PlayStation Portable（PSP）の発売に伴い対応製品が増加しました。映像コーデックなどはモバイルムービー形式と共通する部分も多いですが、ファイル配置などフォーマットが異なるため、互換性はありません。

対応機器

CLIE（再生専用）:
PEG-VZ90
PlayStation Portable (PSP):
PSP-N1000 (PSP go)
PSP-3000
PSP-2000
PSP-1000
PlayStation Vita (PS Vita):
PCH-2000
PCH-1000
ウォークマン:
NW-A800
NW-A910
NW-A820
NW-A840
NW-A850
NW-A860
NW-S710
NW-S610
NW-S730
NW-S630
NW-S740
NW-S640
NW-S750
NW-S760
NW-S770
NW-X1000
パーソナルコミュニケーター「mylo」（AVC再生非対応）:
COM-2
COM-1
デジタルスチルカメラ「Cyber-Shot」:
DSC-HX100V
DSC-HX9V
DSC-HX7V
DSC-HX5V
DSC-HX1
DSC-H55
DSC-TX100V
DSC-TX55
DSC-TX10
DSC-TX9
DSC-TX7
DSC-TX5
DSC-TX1
DSC-T900
DSC-T110
DSC-T99
DSC-T90
DSC-WX30
DSC-WX10
DSC-WX7
DSC-WX5
DSC-WX1
DSC-W570
DSC-W380
DSC-W350
DSC-W270
DSC-M2
DSC-M1
ハードディスク搭載DVDレコーダー「スゴ録」:
RDR-AX75
ハードディスク搭載DVDレコーダー「PSX」:
DESR-5500/7500（アップグレードでの対応）
DESR-5700/7700
携帯電話（再生専用）:
au（KDDI／沖縄セルラー電話）: W44S
メモリースティックビデオレコーダー:
MSVR-A10
PC用変換ソフトウェア:
ImageConverter 2.0以降
PC用再生ソフトウェア:
* Memory Stick Video Player

メモリースティックセキュアビデオファイルフォーマット

概要

メモリースティックセキュアビデオファイルフォーマットは、2004年にソニーが策定した、メモリースティック上で著作権保護された映像コンテンツを扱うためのアプリケーションフォーマットです。コンテンツ保護の仕様とあわせて「メモリースティックセキュアビデオフォーマット」とも呼ばれます。

コーデックやファイル構造といった基本仕様は、メモリースティックビデオファイルフォーマットと共通です。保護を必要とするコンテンツを扱うために策定されたものであり、コンテンツ保護技術としてMagicGate（MagicGate Type-R for Secure Video Recording）を採用しています。

主に、PSPやVaioでのワンセグ番組録画や、ブルーレイディスクレコーダーなどからデジタル放送番組をメモリースティックへ転送するといった用途に用いられています。過去には、So-netのPSP向けビデオ配信サービス「P-TV」にも採用されていました。

脚注

メモリースティック
MagicGate'>MagicGate
AVCHD

外部リンク

メモリースティックビデオファイルフォーマット
メモリースティックセキュアビデオファイルフォーマット
Sony MobileMovie Products Information

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