メランティオス

メランティオス

メランティオス（古希: Μελάνθιος, Melánthios）は、古代ギリシャ神話に登場する人物です。彼はドリオスの子として生まれ、メラントーを兄弟に持ちました。イタケー島の王オデュッセウスの宮廷に仕える山羊飼いでしたが、その心は王への忠誠から遠く離れていました。彼は粗野で口汚い性格であり、しばしば乱暴な振る舞いをしました。特に、長年留守にしているオデュッセウスの妻ペーネロペーに言い寄る求婚者たちと親しく、彼らの歓心を買おうとしていました。求婚者の中でも、エウリュマコスはメランティオスを特に気に入っていたと伝えられています。

オデュッセウスが長旅からイタケーへ帰還した際、彼は故郷の様子を探るため、豚飼いのエウマイオスの助けを借り、乞食に変装していました。メランティオスは、求婚者たちのために山羊を館へ連れて行く途中、この乞食姿のオデュッセウスがエウマイオスと共に歩いているのを見かけます。彼はオデュッセウスとエウマイオスに対し、激しい罵詈雑言を浴びせかけたばかりか、オデュッセウスを足蹴にするという暴挙に出ました。さらに、館に到着したオデュッセウスが物乞いを始めると、彼は求婚者たちに対して、あの見知らぬ乞食はエウマイオスが連れてきたのだと告げ口し、オデュッセウスへの敵意をあらわにしました。後にアポローンの祭りが催された朝、再びオデュッセウスを見つけたメランティオスは、またも彼を罵倒しました。

長い間オデュッセウスに仕えながらも忠誠心を欠いていたメランティオスは、王が求婚者たちに正体を明かして誅殺を始めた際に、決定的な裏切り行為を働きます。戦いが始まると、メランティオスは求婚者たちを助けるために、武器庫から武具を持ち出して彼らに分け与えました。これにより、オデュッセウスとその忠実な家臣たちは一時的に危機に陥ります。しかし、彼が再び武器庫へ向かった際、エウマイオスと牛飼いのピロイティオスによって捕らえられてしまいました。二人はメランティオスを捕縛し、彼は激しい苦痛を伴う拘束を受けました。戦いが終わり、求婚者たちや、彼らに協力した女中たちが全て殺された後、メランティオス自身の番が訪れます。その最期は非常に悲惨でした。彼は鼻と耳を切り落とされ、さらに手足をも切断された上で、命を絶たれたのです。これは、彼の王への裏切りと、主であるオデュッセウスに対する傲慢な振る舞いに対する報いであるとされています。メランティオスの死は、『オデュッセイア』における、主への不忠や傲慢に対する厳しい結末を象徴するエピソードの一つです。

彼の物語は、ホメロスによる叙事詩『オデュッセイア』の中で詳しく語られています。また、アポロドーロス『ギリシア神話』にもその存在が記されています。

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