メリー・クリスマス (トムとジェリー)

メリー・クリスマス：トムとジェリーのクリスマスイブの攻防

1941年12月6日に公開された『メリー・クリスマス』(The Night Before Christmas)は、ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラによって制作された、人気アニメシリーズ『トムとジェリー』の短編作品です。アカデミー賞短編アニメ賞にもノミネートされた本作は、クリスマスイブの夜を舞台に、トムとジェリーによるコミカルで心温まる物語が展開されます。

物語の概要

ジェリーは、クリスマスの飾りつけが施された家中を自由に動き回り、いたずら好きな本性を発揮します。キラキラ輝くツリーの飾りや甘いキャンディーに夢中になり、眠っているトムを無邪気に起こしてしまいます。

目覚めたトムは、ジェリーによるいたずら攻撃の標的となります。ジェリーはトムの口に「クリスマスまで開けるな」と書いたシールを貼り付けたり、電球に化けたり、おもちゃの兵隊に紛れたりと、いたずら好きな性格を遺憾なく発揮します。さらに、「ヤドリギの下でキス」というおとりにトムを誘い込み、反撃に出るなど、トムを翻弄します。

一連のいたずら合戦の末、ジェリーは雪の降る屋外に追い出されてしまいます。静寂が訪れた後、トムはジェリーのことを気にかけるようになり、外の様子を見に行きます。そこには、凍えて動かなくなったジェリーがいました。トムは凍え切ったジェリーを暖炉のそばで温め、介抱します。

トムの献身的な看病のお陰で、ジェリーは意識を取り戻します。トムがミルクを飲もうとした時、ジェリーはトムに仕掛けていたネズミ捕りを発動させようとします。しかし、トムへのいたずらもこれで終わりではありません。

ジェリーは巣穴へ帰ろうとしますが、そこには以前からあったネズミ捕りが置かれています。しかし、トムからもらったキャンディケインを使って、そのネズミ捕りからチーズを巧みに取り出します。ネズミ捕りから発せられたのは、予想外の「ジングルベル」の音色でした。それは、トムからの粋なクリスマスプレゼント、ネズミ捕り型のオルゴールだったのです。ジェリーは、満面の笑顔でプレゼントを受け取ります。

登場キャラクター

トム: ジェリーに起こされ、クリスマスの飾りの中で追いかけっこをする。ジェリーを外に追い出すが、後に彼を心配し、凍り付いたジェリーを助け、キャンディーをプレゼントする。
ジェリー: プレゼントやおもちゃに囲まれた家中を動き回り、トムを起こしてしまい、追いかけっこに発展。雪の降る外に逃げ込むが、トムに締め出されて凍り付いてしまう。トムに助けられ、トムへのいたずらの借りを返す。最後に、ネズミ捕り型のオルゴールというプレゼントを受け取る。

特記事項

この作品は、1940年代前半のトムとジェリー作品の中では珍しく、再公開されなかった作品です。そのため、日本で放送されたものは、オープニングのライオンマークが実写映画と同じ仕様になっており、エンドカードも実写映画と同様のシンプルなものです。また、絵本「トムとジェリーおはなしえほん4 クリスマスのよるに」としてアレンジされ、発売されています。オープニングとエンディングでは「ひいらぎかざろう」と「牧人ひつじを」が使用されています。

スタッフ

監督：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ、ルドルフ・アイジング（クレジット無し）
製作：フレッド・クインビー、ルドルフ・アイジング（クレジット無し）
共同製作：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ（クレジット無し）
音楽：スコット・ブラッドリー（クレジット無し）

メリー・クリスマス (トムとジェリー)