メルセデス・ベンツ L3000

メルセデス・ベンツ L3000

メルセデス・ベンツ L3000（Mercedes-Benz L3000）は、1938年から1944年までダイムラー・ベンツAGによって生産されたトラックで、ペイロードは3トンです。このモデルは、その多様な駆動方式、すなわち全輪駆動（Aタイプ）と後輪駆動（Sタイプ）を持ち、軍の物資運搬に重要な役割を果たしました。

生産と歴史

L3000は、開発の過程で社内呼称LGF3000で知られるようになりました。水冷式直列4気筒のディーゼルエンジンを搭載し、1939年の第二次世界大戦の始まりに伴い、多くのL3000がドイツ国防軍によって物資運搬に徴用されました。また、戦争を支えるために戦略的準備が行われ、これにより車両の保守・修理が簡素化され、車両の種類も統一されていきました。これにより車両数は114種類から19種類に減少しましたが、ダイムラー・ベンツは、3トン、4.5トン、6.5トンの異なるトラックの生産を担当しました。

戦争が進むにつれ、L3000は数々の重要な任務を担うようになり、特に簡易ハーフトラックであるマウルティア（Sd.Kfz.3）も頻繁に使用されるようになりました。1942年には他のメーカーに3トントラックの製造が発注されましたが、ダイムラー・ベンツには4.5トントラックL4500の発注のみがありました。戦争の後半には、資源が不足したため、木材やプレス段ボールなど新しい素材を使った標準キャブが採用されました。

技術仕様

L3000の基本構造はラダーフレームで、前後両方の軸がリーフスプリングでサスペンションされていました。前輪にはシングルタイヤ、後輪にはダブルタイヤが装備され、タイヤサイズは7.50-20でした。全輪駆動の版本であるL3000 Aは、オフロード用タイヤを装備しています。ブレーキは油圧システムを使用して全ての車輪を制御しており、パーキングブレーキは後輪のみに作用しました。

エンジンは排気量4,849ccのメルセデス・ベンツOM65/4の水冷OHV直列4気筒ディーゼルエンジンであり、燃料はデッケルまたはボッシュ製の噴射ポンプを通じて予燃焼室に供給されました。クランクシャフトは5ベアリングで支えられ、平歯車を介してカムシャフトを駆動させていました。また、エンジンの出力はシングルディスクの乾式クラッチを通じて副変速機を備えた5速マニュアルトランスミッションに伝達されました。特にL3000 Aでは、動力が3つのリミテッドスリップデフを介して前後輪に配分されていました。

結論

メルセデス・ベンツ L3000は、全体として見れば、戦争の需要に応じて巧妙に設計されたトラックであり、その生産数は約33,400台に達しました。このモデルは、メルセデス・ベンツのトラック製造の中でも特に多く生産されたものとされ、戦争時の物流に大きな影響を与えました。

もう一度検索