メードヴィン反乱

メードヴィン反乱：ウクライナ農民の抵抗

1920年から1921年にかけて、ウクライナのキエフ州メードヴィンとその周辺地域を舞台に、農民たちがボリシェヴィキ政権に対して立ち上がった「メードヴィン反乱」が発生しました。この反乱は、当時のソビエト政権が推し進めていた強圧的な政策に対する、ウクライナ農民たちの不満と抵抗の象徴と言えるでしょう。

反乱の背景：戦時共産主義とロシア化政策

反乱の直接的な原因となったのは、ボリシェヴィキが実施した「戦時共産主義」政策とロシア化政策です。戦時共産主義は、国家による食糧の強制徴発や私有財産の制限を伴い、農民たちの生活を著しく困窮させました。また、ロシア化政策はウクライナの文化や言語を抑圧し、農民たちの民族意識を刺激しました。これらの政策は、農民たちの間に深刻な不満と反感を醸成し、遂には武力闘争へと発展する原動力となったのです。

メードヴィン共和国の誕生と弾圧

1920年夏、不満を募らせた農民たちは、メードヴィンとその周辺の村々で、ボリシェヴィキ関係者を殺害し、自分たちの自治を宣言しました。これが「メードヴィン共和国」です。しかし、この蜂起は短命に終わります。同年10月には、赤軍がメードヴィンを制圧し、数百人もの農民が処刑されました。この武力弾圧は、反乱を鎮めるどころか、農民たちの抵抗心をさらに燃え上がらせることとなりました。

ゲリラ戦の展開

メードヴィンでの鎮圧後も、農民たちは武装を解かず、ゲリラ戦を展開し続けました。彼らは、土地勘を生かし、地の利を活かした戦術で赤軍を苦しめました。この抵抗は1921年末まで続き、ウクライナ農民の粘り強い抵抗の象徴として歴史に刻まれています。

反乱の意義と歴史的評価

メードヴィン反乱は、ボリシェヴィキ政権に対する農民の抵抗運動の一環として捉えられます。この反乱は、ソビエト政権の強権的な政策に抵抗した農民たちの勇気と決意を示す一方で、民族的自決を求めるウクライナ人の根強い意識を浮き彫りにしました。反乱は短期間で鎮圧されましたが、その歴史的意義は大きく、後世に多くの教訓を残しました。

参考文献

伊東孝之、井内敏夫、中井和夫 編『ポーランド・ウクライナ・バルト史』山川出版社、東京〈世界各国史; 20〉、1998年。ISBN 4-634-41500-3。
黒川祐次『物語ウクライナの歴史 : ヨーロッパ最後の大国』中央公論新社、東京〈中公新書; 1655〉、2002年。ISBN 4-121-01655-6。
（ウクライナ語） Дубинець І. Горить Медвин — Нью-Йорк: Добрус, 1952.
（ウクライナ語） Історія міст і сіл Української РСР. — Київська область. — Київ, 1971. — С.156.

外部リンク

（ウクライナ語） Денисенко Г. Чуєш, брате мій // Кіно-Театр. — 2007. — №3
（ウクライナ語） Краснюк В. // Народне слово. — 23 жовтня 2008

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