モジョ (雑誌)

『モジョ』（MOJO）は、イギリス発祥の音楽雑誌であり、オンラインマガジンとしても展開されています。

歴史と概要

当初はEマップが出版していましたが、2008年1月からはバウアー・メディア・グループが発行元となっています。バウアー・メディア・グループは19世紀から続く、ハンブルクに拠点を置く企業です。
『モジョ』は、『Qマガジン』の成功を受けて、Eマップがクラシックロックへの高まるニーズに応えるために創刊されました。1993年10月15日に創刊され、ボブ・ディランとジョン・レノンの写真が創刊号の表紙を飾りました。この二人の象徴的なアーティストをフィーチャーしたことは、『モジョ』の音楽に対する真摯な姿勢を示すものであり、その後の『ブレンダー』や『アンカット』といった競合誌にも影響を与えました。

特徴

『モジョ』は、Charles Shaar Murray、Greil Marcus、Nick Kent、Jon Savageといった著名な音楽評論家を執筆陣に擁しています。初代編集長はPaul Du Noyerが務め、その後、Mat Snow、Paul Trynka、Pat Gilbertなどが編集長を引き継ぎました。

ビートルズやボブ・ディランのような往年のロックスターに焦点を当てることが多いという批判もありますが、新しい音楽や革新的なアーティストも積極的に取り上げています。イギリスの主要音楽雑誌の中では、ザ・ホワイト・ストライプスをいち早く取り上げ、その後も頻繁に表紙を飾るなど、新進気鋭のアーティストの紹介にも力を入れています。

各号には、特集に関連したコンピレーションCDが付録として付いています。2004年には、読者と批評家の投票によって選ばれる音楽賞「モジョ・アワード」の受賞曲を集めたCDを付録として提供しました。

著作権問題

2010年初頭、親会社であるバウアー・メディアが、著作権に関する問題で議論を呼びました。バウアー・メディアは、寄稿者に対して著作権を放棄させる契約を一方的に提示し、名誉毀損や著作権侵害が発生した場合の責任を寄稿者に負わせようとしました。この契約に対し、『モジョ』だけでなく、『ケラング!』や『Qマガジン』など、バウアー傘下の音楽雑誌の寄稿者約200人が拒否反応を示しました。

各種リスト

『モジョ』は、様々なテーマでトップ100リストを発表しており、中でも「モジョの全時代トップ100アルバム一覧」は特に注目を集めました。このリストの上位5作品は以下の通りです。

1. グレース - ジェフ・バックリィ（1994）
2. アメリカン・レコーディングス - ジョニー・キャッシュ（1994）
3. OKコンピューター - レディオヘッド（1997）
4. タイム・アウト・オブ・マインド - ボブ・ディラン（1997）
5. オアシス - オアシス（1994）

2007年には、「世界を変えた100枚のレコード」リストが発表され、ビョーク、トーリ・エイモス、トム・ウェイツ、ブライアン・ウィルソンなど、著名なミュージシャンが投票に参加しました。このリストでは、リトル・リチャードの1955年のヒット曲「トゥッティ・フルッティ」が1位に輝き、ザ・ビートルズの「抱きしめたい」（2位）、エルビス・プレスリーの「ハートブレイク・ホテル」（3位）を抑えました。

同誌の編集者は、「このリストに選ばれた100枚のアルバム、シングル、78回転レコードは、これまでに作られた中で最も影響力があり、創造性に満ち溢れた作品群である」と語り、「トゥッティ・フルッティ」をロックンロール誕生の象徴として称えました。

「モジョの100枚のレコード」からのトップ10は以下の通りです。

1. トゥッティ・フルッティ / リトル・リチャード
2. 抱きしめたい / ザ・ビートルズ
3. ハートブレイク・ホテル / エルビス・プレスリー
4. フリーホイーリン・ボブ・ディラン / ボブ・ディラン
5. アウトバーン / クラフトワーク
6. デルタ・ブルースの王 / ロバート・ジョンソン
7. ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ / ヴェルヴェット・アンダーグラウンド
8. アメリカン・フォーク・ミュージックのアンソロジー / オムニバス
9. ホワッド・アイ・セイ / レイ・チャールズ
10. ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン / セックス・ピストルズ

モジョ・ラジオ

バウアー・メディアは、デジタルラジオ局「モジョ・ラジオ」の番組配信も行っていましたが、2008年11月30日に放送を終了しました。

『モジョ』は、音楽への深い愛情と知識、そして独自の視点によって、音楽ファンから支持され続けている雑誌です。

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