モッジ型フリゲート

モッジ型フリゲート

モッジ型フリゲート（ペルシア語: ناوچه کلاس موج、英: Mowj-class frigate）は、イラン海軍が運用する艦船の一つで、正式には駆逐艦として分類されています。この艦級は、イラン海軍がイスラム革命以前から使用していたアルヴァンド級フリゲートを基にした設計がなされており、海軍の戦力を高めるための重要な役割を果たしています。

設計の特徴

モッジ型フリゲートは、アルヴァンド級の基本設計を引き継ぎつつ、いくつかの重要な改良が施されています。特に目を引くのは、動力機関の変更です。この艦級はCODOG方式を採用していたアルヴァンド級とは異なり、ガスタービンエンジンを省略し、ディーゼルエンジンのみを使用することで効率を向上させつつ、単一の推進システムを持っています。この変更により、艦艇の速力は若干低下しましたが、運用コストの削減を実現しています。

また、モッジ型には艦尾甲板にヘリコプター甲板が装備されており、その上に艦載ヘリコプターを搭載することが可能です。具体的には、ベル214型のヘリコプターや、武装した無人航空機の運用が試みられています。ヘリコプター甲板の近くには、2隻の搭載艇が設置され、その活用が広がることが期待されています。

装備

モッジ型フリゲートでは、レーダー技術も改善されました。最初に竣工した艦「ジャマラン」はAWS-1レーダーを搭載していましたが、後に国産の3次元レーダー「アスル」にも対応できるよう改修されています。また、「ダーマヴァント」艦は火器管制レーダーWM-28も導入しています。

兵装に関しても、モッジ型はアップグレードされており、艦砲はイタリア製の62口径76mm単装速射砲に変更されているほか、機関砲としてボフォース社製の40mmや20mm機関砲を搭載しています。また、艦対艦ミサイルにはヌール（C-802の国産版）を、艦対空ミサイルとしてメラブ（サッヤード-2の艦載化版）を装備しています。対潜任務に備えた3連装短魚雷発射管も保持しており、多様な任務に対応できるようになっています。

運用の歴史

モッジ型フリゲートの運用は、多くの注目すべき出来事が伴っています。例えば、2018年1月には「ダマーヴァンド」が嵐により防波堤に衝突し沈没する事故が発生しました。また、2020年には「ジャマラン」演習中に誤って支援艦「コナラク」にミサイルを発射してしまい、19名が亡くなる悲劇もありました。これらのインシデントは、運用面での慎重さが求められることを示しています。

さらに、2021年には艦「サハンド」が長距離航海を成功裏に実施し、イランの指導者やメディアから称賛されました。この航海は、経済制裁下においての国産兵器の重要性を示す一例としてしばしば引用されます。

最近では、2024年に「サハンド」がバンダレ・アッバースで横転する事故が発生し、さらなる艦艇の運用上の課題を露呈しています。このように、モッジ型フリゲートはその設計上の特質と運用実績を通じて、イラン海軍にとって必要不可欠な艦艇となっています。

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