モナーク航空

モナーク航空：設立から破綻までの軌跡

モナーク航空（Monarch Airlines）は、かつてイギリスに拠点を置いていた航空会社で、その歴史は1967年にチャーター便専門の航空会社として始まりました。その後、定期便の運航にも進出し、地中海地域、カナリア諸島、キプロス、エジプト、ギリシャ、トルコなど、多くの人気観光地への路線を拡大しました。

創業から格安航空会社への転換

モナーク航空は、創業当初はチャーター便のみを運航していましたが、1990年代以降、レイカー航空やヴァージン・アトランティック航空、さらにはイージージェットやライアンエアといった格安航空会社の台頭に触発され、自らも格安航空会社へと転換しました。この転換に伴い、予約はインターネットと電話のみに限定され、機内食は有料化するなど、徹底的な効率化を図りました。しかし、チャーター便の運航も継続しており、幅広い顧客ニーズに応えていました。

2013年には、同社史上最多となる680万人の乗客を輸送し、そのうち600万人が定期便、80万人がチャーター便を利用しました。これは、2012年と比較して8%増という目覚ましい成長でした。

経営状況と所有権

モナーク航空は、Globus Travel Groupが所有しており、本拠地はルートン空港にありました。その他にも、バーミンガム、イースト・ミッドランズ、リーズ/ブラッドフォード、ガトウィック、マンチェスターに拠点を置いていました。従業員は約3000人を抱え、長年にわたりイギリスの航空業界を支えてきました。

2010年6月には、サンデー・タイムズの「Top Track 100」で、イギリス最大の非公開会社として58位にランクインしました。これは、同社の売上高がイギリス国内で上位に位置していたことを示しています。また、英国民間航空局(CAA)からType A Operating Licenceを取得しており、20席以上の航空機での乗客、貨物、郵便の輸送が許可されていました。

破綻と影響

しかし、2017年10月2日、モナーク航空は経営破綻し、観光業を含む関連会社と共に全ての業務を停止しました。これは、イギリスの民間航空会社の破綻としては史上最大規模とされています。発表が突然だったため、多くの乗客に混乱が生じました。出発予定だった便はキャンセルされ、約30万件の予約が一方的に取り消されました。

さらに、海外に取り残された旅行客は11万人にも及びました。イギリス政府は、これらの旅行者を帰国させるために緊急措置を講じ、代替航空機を手配するなどして約6000万ポンドの費用を負担しました。この大規模な帰国作戦は、英国史上最大規模とされ、CAAのハットン議長は「事実上イギリス最大級の航空会社を急遽1から編成するようなもの」と述べるほどの規模でした。

受賞歴

モナーク航空は、その歴史の中でいくつかの賞を受賞しています。
FlightOnTime.info Most Improved UK Charter Airline for Punctuality (2007年夏)
Travel Trade Gazette Airline of the Year – Leisure (2006年、2007年)
TravelWeekly Globe Travel Awards – Best Charter Airline (2009年、2010年、2011年)
World's greenest airline ITB Berlin travel show – The number 1 greenest airline (2011年)

まとめ

モナーク航空は、長年にわたりイギリスの航空業界で重要な役割を果たしていましたが、2017年の経営破綻により、その歴史に幕を閉じました。格安航空会社としての転換や多くの乗客を輸送してきた実績は、イギリスの航空史に名を残すことでしょう。しかし、その突然の破綻は、多くの旅行者に大きな影響を与え、旅行業界全体に警鐘を鳴らす出来事となりました。

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