モハンマド・タギー・メスバーフ・ヤズディー

モハンマド・タギー・メスバーフ・ヤズディー：イランの強硬派ウラマー、その生涯と影響

モハンマド・タギー・メスバーフ・ヤズディー（1934年1月31日 - 2021年1月1日）は、イランの著名なシーア派ウラマーであり、政治家でした。彼はアーヤトッラーの称号を持ち、イランの政治と宗教に大きな影響を与えました。

生涯と教育

ヤズド出身のメスバーフ・ヤズディーは、初等・中等教育を故郷で終えた後、ゴムに移り、イスラーム法学（フィクフ）を学びました。ゴムでは、アーヤトッラー・ホメイニーやアーヤトッラー・モハンマド・タギー・バフジャト・フーマーニーなど、著名な学者から教えを受けました。また、クルアーン解釈の大家であるモハンマドホセイン・タバータバーイーにも師事しました。イスラーム革命以前には、雑誌「復讐」の編集長を務めています。

政治的立場

メスバーフ・ヤズディーは、強硬原理主義派の精神的指導者として知られていました。改革派のモハンマド・ハータミーが大統領に当選した1997年以降、彼は改革に対して厳しく批判的な立場を取りました。2005年の大統領選挙では、マフムード・アフマディーネジャードを支持し、彼の宗教面での助言者となりました。専門家会議の選挙を前に、「大統領職を獲得したとしても、本当の権力は別のところにある」と述べ、最高指導者への意欲を示唆したとされています。しかし、専門家会議選挙では敗北し、その目論見は実現しませんでした。

主張と見解

メスバーフ・ヤズディーは、1979年のイラン・イスラーム革命の理念への復帰を強く主張し、「イスラーム共和制」からより厳格な「イスラーム体制」への転換を求めました。彼はイランにおけるイスラーム原理主義の指導的理論家と見なされ、改革運動には一貫して反対しました。ハータミー元大統領からは「暴力の理論家」と評されたこともあります。

多元主義を否定し、イスラームの名による奴隷制と攻撃を正当化する立場を取りました。また、イスラエルに対する自爆攻撃を支持するなど、過激な主張も展開しました。核兵器の使用についても、宗教的合法性がありうるとの見解を示唆したことがありますが、最高指導者アリー・ハーメネイーは核兵器の製造・備蓄を禁止するファトワーを発しています。

経歴と活動

メスバーフ・ヤズディーは、ハッガーニー閥の評議員であり、イスラーム法学、クルアーン解釈学、神学など、幅広い分野で多くの著書を執筆しました。ゴムのエマーム・ホメイニー教育研究所の評議員も務め、テヘランの金曜礼拝で説教を行うこともありました。彼の学生たちは、ハータミー政権への批判勢力として活動し、メスバーフ・ヤズディー自身の知名度を高めることになりました。2006年には、次期最高指導者候補を選任する専門家会議の議員に当選しました。

人物像

メスバーフ・ヤズディーは、その強硬な姿勢から「ワニ教授」というあだ名で呼ばれることもありました。これは、ウラマーによる表現の自由への抑圧を風刺した漫画に由来するものです。

ホッジャティエ集団との関係をめぐる噂もありましたが、彼はこれを否定し、関係を指摘する者を強く非難しました。

遺産

モハンマド・タギー・メスバーフ・ヤズディーは、イランの政治と宗教に大きな影響を与えた人物でした。彼の強硬な原理主義的立場は、国内で賛否両論を呼びましたが、その思想と活動は、イランの現代史において重要な位置を占めています。

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