ヤズド州

ヤズド州の概要

ヤズド州（ヤズドしゅう）はイラン中央部に位置する州で、州都は同名のヤズドです。この州は128,811km²の広さを持ち、2016年の国勢調査では人口が約113万人に達しています。ヤズド州は、周囲にラザヴィー・ホラーサーン州、ホラーサーン州、セムナーン州、エスファハーン州、ファールス州、ケルマーン州と接しています。

地理と気候

ヤズド州はイラン中央高原の中央に位置し、周囲は山脈によって囲まれています。北東部にはキャヴィール砂漠の平坦地が広がり、州内で最も人口密度の高いヤズド回廊が存在します。最高点はシール・クーフ山脈の4055mと、標高の高い地域も多く見られます。

気候は乾燥して温暖で、特に夏は非常に暑くなります。冬から春にかけてはわずかな降雨があるものの、年間降水量は非常に少なく、農耕には適していません。しかし、この厳しい自然環境の中でヤズド州では地下水路（ガナート）が発展しており、それによって水の供給が行われています。

歴史

ヤズド州の歴史は古く、イスラームの影響を受ける前にはあまり記録が残っていませんが、サーサーン朝の時代から始まります。10世紀に入るとカークイェ朝の支配下に入り、その後はセルジューク朝の影響を受けつつ繁栄しました。中世以降、ヤズドは他の王朝の支配を受けつつ、そのコアな商業都市としての地位を保ち続けました。

ヤズド・アタベク朝やムザッファル朝が短期間の繁栄を見せた後、ティムール朝の支配により再度の成長を遂げました。特にこの時代には多くの公共施設や建物が建設され、文化的な発展が見られました。以降、サファヴィー朝やガージャール朝などの時代を経て近代化が進んでいきました。

産業と経済

ヤズド州は農業や商業が盛んです。農業は主に都市周辺で行われ、特にガナートを使った灌漑が重要です。名産品には野菜や果物があり、特にメイボド産のザクロが有名です。また、ヤズド州は古くからの商業拠点としても知られており、地域の経済は交易によって成り立っています。ヤズド回廊はイラン北西部から南東部へ向かう重要な交易路上に位置しています。

さらに、ヤズドは養蚕が盛んな地域でもあり、絹織物や絨毯などの高級品が生産されています。伝統的な特産品としてヤズド菓子も知られています。

住民と文化

ヤズド州の住民は商人として有名で、街への強い愛着を持ちます。ヤズドではペルシア語が話され、少数のユダヤ教徒も存在しますが、主にゾロアスター教の中心地として知られています。歴史的にもこの地は宗教的および文化的な重要性を持ちながら発展してきました。

現代のヤズド

20世紀に入って以降、ヤズドは交通の要所として重要な役割を果たし、観光都市としても栄えています。古い町並みや歴史的な建物が数多く残されており、観光客に人気を博しています。ヤズド州はその独自の文化や歴史が息づく地域として、今なお多くの人々を惹きつけています。

もう一度検索