モリソン号事件

モリソン号事件とは

モリソン号事件は、1837年（天保8年）7月30日に発生した、アメリカ商船モリソン号に対する日本側の砲撃事件です。この事件は、当時の日本の外交政策、特に異国船打払令がもたらした混乱を象徴する出来事として知られています。

事件の背景

19世紀初頭、日本は鎖国政策を維持しており、外国船の来航を厳しく制限していました。1825年には異国船打払令が発令され、日本近海に接近する外国船に対しては、理由の如何を問わず砲撃することが命じられていました。

モリソン号は、アメリカのオリファント商会が所有する商船で、この時、日本への漂流民送還と通商、そしてキリスト教布教という複数の目的を持っていました。モリソン号には、マカオで保護されていた日本人漂流民7名（音吉、庄蔵、寿三郎など）が乗船していました。

事件の発生

1837年7月、モリソン号は鹿児島湾と浦賀沖に姿を現しました。しかし、当時の日本側はモリソン号をイギリス軍艦と誤認し、異国船打払令に基づき、薩摩藩と浦賀奉行の太田資統によって砲撃が開始されました。江戸湾での砲撃は、小田原藩と川越藩が担当しました。モリソン号は、突然の砲撃に遭遇し、目的を果たすことなく退去を余儀なくされました。

事件の影響

モリソン号事件は、異国船打払令の矛盾点を浮き彫りにしました。漂流民を送り届けようとした友好的な商船を、無差別に砲撃したことは、国際的な非難を招く可能性がありました。事件後、モリソン号の真の目的が明らかになると、異国船打払令に対する批判が強まり、幕府内でも政策の見直しを求める声が上がりました。この事件は、その後の日本の外交政策に大きな影響を与え、開国への流れを加速させる一因となったと考えられています。

関係者

デアード・インガソル: モリソン号の船長
カール・ギュツラフ: モリソン号に乗船していた宣教師
サミュエル・ウィリアムズ: 同上

参考文献

田中弘之『「蛮社の獄」のすべて』吉川弘文館、2011年。
山田勝『イギリス紳士の幕末』日本放送出版協会、2004年8月30日。

関連項目

尚歯会

モリソン号事件は、日本の鎖国政策がもたらした悲劇的な出来事であり、その後の日本の開国へと繋がる重要な転換点となりました。この事件は、国際社会における日本の立場を考える上で、避けて通れない歴史的な出来事です。

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