モルヒ (特殊潜航艇)

モルヒ (特殊潜航艇)

モルヒは、第二次世界大戦中にドイツ海軍が開発した一人乗り特殊潜航艇です。ドイツ語でイモリを意味する「Molch」という名が与えられました。

開発の経緯

先行して開発された特殊潜航艇「ネガー」の性能が不十分だったため、その改良型として開発されました。ネガーは水上を航行する必要がありましたが、モルヒは潜望鏡を装備し、潜航したまま航行できるため、敵に発見されにくく、索敵も容易でした。

構造と性能

モルヒは魚雷の技術を応用して開発され、G7e魚雷2発を艇体側面に搭載していました。動力は電動式で、沿岸での作戦を想定しており、5ノットで約64kmの航続距離がありました。艇の前部には大型の蓄電池、中央部には搭乗員席、後部には電動機が配置されていました。操縦は複雑で、作戦行動中の取り扱いが難しいという課題がありました。

運用と戦果

1944年後半から終戦までに約400隻が建造されましたが、大きな戦果を挙げることはできませんでした。当初は地中海でのドラグーン作戦に投入され、戦艦を攻撃しましたが、多数の艇を失いました。その後、オランダにも派遣されましたが、成功しませんでした。1945年1月から4月にかけて、モルヒとビーバー特殊潜航艇は102回の出撃を行いましたが、7隻の小型船舶を撃沈したに過ぎず、自らも7隻を失いました。

その後

モルヒは作戦における有効性が低かったため、より進化した特殊潜航艇のための訓練用として使用されるようになりました。

主要諸元

全長: 10.8m
全幅: 1.8m
水中排水量: 11.0t
水中速度: 5.0kt
航続距離: 50海里/5.0kt
兵装: 533mm魚雷×2
機関: 主機に電動機を装備
乗員: 1名

関連項目

ドイツ海軍小型戦闘部隊
人間魚雷

参考サイト

Uboat.net - Molch (Salamander)
German-Navy.de - Molch – The first real mini submarine of the Kriegsmarine

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