モーテン・アンダーセン

モーテン・アンダーセン：NFL歴代最多得点記録を持つ偉大なキッカー

モーテン・アンダーセン（Morten Andersen、1960年8月19日 - ）は、デンマークのコペンハーゲン出身のアメリカンフットボール選手。プレースキッカーとしてNFLで25シーズンもの間活躍し、47歳で引退するまで歴代トップの2,544得点を記録しました。その正確無比なキックから、彼は「ミスター・オートマティック」や「Great Dane（偉大なデンマーク人）」という愛称で親しまれました。

生い立ちとNFL入りまで

心理学者の父と教師の母の間に生まれたアンダーセンは、幼少期をデンマークの漁村で過ごしました。5歳からサッカーを始め、デンマーク代表ジュニアチームの選考にもれたものの、体操競技やハンドボールでも才能を発揮。スポーツに打ち込む彼を心配した母親は、歴史や言語を学ばせ、その結果、彼はデンマーク語に加え、英語、フランス語、ドイツ語、ラテン語、ノルウェー語、スウェーデン語を習得しました。

17歳の誕生日、YFUの交換留学生としてアメリカのインディアナポリスに留学し、アメリカンフットボールに出会いました。それまでNFLについて全く知らなかった彼は、1シーズンを過ごした後、ミシガン州立大学に進学。当時のアメフト界では、威力はあるものの正確性に欠けるトーキックが主流でしたが、彼はサッカーで培ったインステップキックを持ち込み、その先駆者となりました。黒いサッカーシューズを履き、正確なキックを繰り出す彼の左足は、相手チームにとって大きな脅威となり、4年次には63ヤードのフィールドゴールを成功させ、カンファレンス記録を樹立。1981年にはオールアメリカンに選出されました。

NFLでの輝かしいキャリア

ニューオーリンズ・セインツ時代

1982年のNFLドラフト4巡目でニューオーリンズ・セインツに入団。当初はロースターに残るかどうかも危ぶまれましたが、チームメイトのサポートもあり、開幕を迎えることができました。しかし、開幕戦で足首を負傷し、一時離脱。ストライキにも参加するなど、苦難の時期を過ごしましたが、2年目にはFG成功率を大幅に向上させました。

1986年にはNFLトップのFG成功率を記録し、1987年にはプロボウル、オールプロに選出されるなど、着実に実績を積み重ねました。セインツ在籍13年間で6回プロボウルに選ばれるなど、信頼性の高いキッカーとしてチームに貢献しました。

セインツ退団後

1995年、サラリーキャップの影響でセインツを解雇され、アトランタ・ファルコンズに移籍。同年、古巣セインツ戦でNFL史上初めて1試合で50ヤード以上のFGを3本成功させるという快挙を達成しました。

1998年、NFCチャンピオンシップゲームで決勝FGを成功させ、チームを初のスーパーボウル出場に導きました。その後もニューヨーク・ジャイアンツ、カンザスシティ・チーフス、ミネソタ・バイキングスでプレーし、2006年にはアトランタ・ファルコンズに復帰。46歳にして週間MVPを受賞するなど、その実力は衰えを知りませんでした。

2008年、48歳で現役引退を発表。通算2,544得点というNFL記録を樹立し、その偉大なキャリアに幕を閉じました。

引退後

2009年、ニューオーリンズ・セインツの殿堂入りを果たし、2017年にはプロフットボール殿堂入りを果たしました。

ゲイリー・アンダーソンとの比較

同じ時代に活躍したキッカー、ゲイリー・アンダーソンとは、名前が似ていることや、海外出身であることなどから、比較されることが多くありました。両者とも高い成功率を誇り、NFLを代表するキッカーとして名を馳せました。

NFL記録

アンダーセンは数々のNFL記録を保持しています。

通算出場試合数 - 382試合
通算FGアテンプト - 709回
通算FG成功 - 565回
通算得点 - 2,544点

これらの記録は、彼の長年にわたる努力と才能の証と言えるでしょう。

モーテン・アンダーセンは、NFL史上最も偉大なキッカーの一人として、その名を永遠に刻んでいます。

もう一度検索