モーリハイ

モーリハイの生涯と影響

モーリハイ（? - 1469年？）は、北元で活躍した部族長であり、オンリュート部の指導者としてその名を残しています。彼は、モンゴル帝国の創始者であるチンギス・ハーンの同母弟ジョチ・カサルの子孫とも、異母弟ベルグテイの血を引くとも言われています。彼の名前は漢文の資料においては「毛里孩」と表記されています。

モーリハイは1454年、オイラト部族の指導者エセンが暗殺された後、ハラチン部のボライ・タイシの指導の下で力を強めました。1465年には、ボライがマルコルギス・ハーンを殺害した後、自らボライを暗殺し、その後の権力争いにおいて重要な立場を確立します。部下の進言を受けてハーンに就任することを考えましたが、最終的にはマルコルギスの異母兄だったモーランを支持する決断を下しました。

モーリハイはその後、敵対者である斡羅出を追放し、モンゴル内の支配権を確保しました。彼の行動は、モンゴル高原の勢力図に大きな影響を与えました。さらに、明朝の大同に侵攻し、さらなる権力拡大を画策しました。しかし、1466年、彼はモーランを暗殺し、その後は新たなハーンを立てることなく北元の空位時代が始まります。

1467年には明の皇帝成化帝がモーリハイ討伐を命じましたが、モーリハイが通貢を申し出たため、遠征は中止されました。翌1468年には明の給事中の程万里が再び討伐を提言しましたが、これも却下され、モーリハイは一定の安定を保っていました。しかし、彼の運命は変わり、最終的にはホルチン部のウネバラトに敗れ、権力を失うことになります。

その後、モーリハイは、クングイ・ジャブハンの宿営地で、6人の子どもたちと共に命を落としました。彼の死は、モンゴルの歴史において重要な転換点とされ、その後の北元における政治的混乱の一因となりました。モーリハイの生涯は、モンゴルの部族間の権力抗争や、明朝との関係を考える上で欠かせない要素となっています。彼の影響力とその結果としての混乱は、モンゴルの歴史を理解する上で重要な要素となっています。

参考文献

• - 岡田英弘『モンゴル帝国から大清帝国へ』（藤原書店, 2010年11月）
• - 松村潤「モーリハイ」『アジア歴史事典』9巻収録（平凡社, 1962年）
• - 森川哲雄「明代のモンゴル 分裂と抗争の時代」『北アジア史』収録（竺沙雅章監修, アジアの歴史と文化7, 同朋舎, 1999年4月）
• - 『騎馬民族史 正史北狄伝』3巻（羽田明、佐藤長 他訳注、東洋文庫, 平凡社, 1973年3月）

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