マルコルギス・ハーン

マルコルギス・ウケクト・ハーン

マルコルギス・ウケクト・ハーン（1448年 - 1465年）は、モンゴル帝国の第30代ハーンであり、北元としては第16代のハーンにあたります。漢語資料では様々な表記が見られ、「マルコルギス」という名前はシリア語の「聖ゲオルギオス」に由来するとも言われています。

生涯

タイスン・ハーンとオイラトのエセン・タイシの姉との間に生まれたマルコルギス。当初、エセン・タイシは彼を太子にしようとしましたが、タイスン・ハーンが別の妻の子を立てようとしたため対立。タイスン・ハーンはエセン・タイシに敗れ、最終的には殺害されました。

エセン・タイシはその後、北元の皇族をほぼ皆殺しにしましたが、オイラト人を母に持つマルコルギスは難を逃れます。1453年、エセン・タイシは自らハーンの位に就きますが、翌年にはアラク・チインの反乱により殺害されます。

1455年、マルコルギスはわずか8歳でハーンに擁立され、ウケクト・ハーンと名乗ります。幼少で即位したため、明からは「小王子」と呼ばれ、以降「小王子」は幼年で即位したハーンを指す称号として用いられるようになりました。しかし、幼い彼には実権はなく、族長たちの傀儡に過ぎませんでした。

在位中、ボライという族長が明との交渉や侵略を勝手に行い、マルコルギスと対立しました。1465年、マルコルギスはボライによって殺害され、ボライもまたすぐにモーリハイによって殺害されるという、混乱した状況でした。

マルコルギスの死後

マルコルギス亡き後、モーリハイがモーランをハーンに擁立し、モンゴルの政情はさらに不安定化していきます。彼の短い生涯は、当時のモンゴルにおける権力闘争の激しさを物語っています。

参考文献

羽田明、佐藤長 他訳注『騎馬民族史3 正史北狄伝』（東洋文庫、平凡社、1973年3月）
森川哲雄「ポスト・モンゴル時代のモンゴル」『中央ユーラシアの統合』収録（岩波講座 世界歴史11、岩波書店、1997年11月）
森川哲雄「明代のモンゴル 分裂と抗争の時代」『北アジア史』収録（竺沙雅章監修, アジアの歴史と文化7, 同朋舎, 1999年4月）
岡田英弘訳注『蒙古源流』（刀水書房、2004年、ISBN 4887082436）
* 岡田英弘『モンゴル帝国から大清帝国へ』（藤原書店、 2010年11月）

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