成化帝

成化帝（せいかてい）

成化帝は、明朝の第9代皇帝であり、廟号は憲宗、諱は朱見深（しゅ けんしん）である。日本では、彼の治世の元号である「成化」から、一般的に成化帝として知られている。父は第6代皇帝の英宗正統帝であり、その長男として生まれた。

生涯

成化帝の生涯は、波乱に満ちたものだった。正統14年（1449年）に起こった土木の変で父帝が捕虜となると、一時的に皇太子に立てられた。しかし、叔父である景泰帝が即位すると、皇太子を廃され、沂王（ぎおう）に封じられた。景泰8年（1457年）には、奪門の変によって父帝が天順帝として再び即位したことで、再び皇太子となる。天順8年（1464年）に父帝が崩御すると、後を継いで皇帝に即位した。

即位後の成化帝は、当初は善政に努めた。奪門の変で処罰された于謙（うけん）の名誉を回復させ、景泰帝の帝号を復活させた。また、民情を考慮し、政治に励んだ。その結果、琉球、哈密（クムル）、暹羅（アユタヤ）、土魯番（トルファン）、撒馬児罕（サマルカンド）など、多くの国々からの入貢を受けた。

しかし、晩年になると、成化帝は方術に傾倒し、道士を重用するようになった。道士を礼部侍郎（文部次官）に任命し、多くの道士を側近として仕えさせた。さらに、自身の乳母であり、19歳年上であった宮女の万貴妃を寵愛したことで、朝政は混乱した。万貴妃の専横を阻止しようとする者を監視するため、宦官の汪直（おうちょう）に諜報機関である西廠（せいしょう）を発足させ、臣下の監視を強化した。当時の後宮では、万貴妃が非常に強い権力を持ち、彼女が産んだ男子が夭折すると、成化帝と他の妃女との間に懐妊が発覚した場合、万貴妃によって堕胎させられていた。その結果、壮年期を迎えても嫡子がいなかった成化帝だったが、後に側近の宦官によって、万貴妃の目を逃れて密かに育てられていた皇子、朱祐樘（しゅ ゆうとう）の存在を知る。この朱祐樘が、後の弘治帝である。万貴妃は、朱祐樘を毒殺しようと試みるが失敗し、1487年に憤死した。その死を深く悲しんだ成化帝も、同年、41歳でこの世を去った。

宗室

明末清初の混乱期に、明の近親の皇族は、清軍や李自成によって多くが殺害された。そのため、現在に成化帝の血を引くことが明確になっているのは、十二男である栄荘王朱祐枢（しゅ ゆうすう）の系統のみである。成化帝の後継皇帝の子孫は、現在には伝わっていない。

成化帝の家族

正室: 廃后呉氏
継室: 孝貞純皇后王氏
側室: 淑妃紀氏（孝穆皇后）
三男: 弘治帝 朱祐樘
側室: 貴妃邵氏（孝恵皇后）
四男: 興献王 朱祐杬（12代皇帝嘉靖帝の実父）
五男: 岐恵王 朱祐棆
八男: 雍靖王 朱祐枟
側室: 皇貴妃万氏
長男 - 夭折
側室: 賢妃柏氏
次男：悼恭太子 朱祐極 - 早世
側室: 徳妃張氏
六男：益端王 朱祐檳
七男：衡恭王 朱祐楎
側室: 安妃姚氏
九男：寿定王 朱祐榰
側室: 敬妃王氏
十男 - 夭折
側室: 恭妃楊氏
十一男：涇簡王 朱祐橓
側室: 端妃潘氏
十三男：申懿王 朱祐楷
側室: 順妃王氏
十二男：栄荘王 朱祐枢
長女: 仁和公主 - 斉世美に降嫁
側室: 恵妃郭氏
次女：永康公主 - 崔元に降嫁
側室: 麗妃章氏
三女：徳清公主 - 林岳に降嫁
側室: 静妃岳氏
六女：仙游公主 - 早世
側室: 昭妃王氏
側室: 栄妃唐氏
側室: 和妃梁氏
側室: 宮人戴氏
生母不詳の子女
四女 - 夭折
五女：長泰公主 - 早世

登場作品

成化帝を題材としたテレビドラマも制作されている。

『王の後宮』（2013年、中国、演：ジャン・イー）
『女医明妃伝〜雪の日の誓い〜』（2016年、中国、演：呉磊）
『成化十四年〜都に咲く秘密〜』（2020年、中国、演：蔡珩）

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