モール・オブ・アメリカ

モール・オブ・アメリカ：エンターテイメントの巨大複合施設

アメリカ合衆国ミネソタ州ブルーミントンに位置するモール・オブ・アメリカ（MOA）は、全米最大級のショッピングモールとして知られています。年間4000万人以上の人々が訪れるこの巨大施設は、単なるショッピングの場を超え、エンターテイメント、レジャー、さらには地域交通の要としての役割も担っています。

圧倒的なスケール

モール・オブ・アメリカは、約390,000平方メートルもの広大な延床面積を誇ります。そのうち約257,200平方メートルが店舗スペースとして利用され、520以上の店舗が軒を連ねます。店舗数では全米最大であり、その規模は圧倒的です。建物は対称的な長方形をしており、4階建ての構造で、各階に多様な店舗が配置されています。4つの主要なデパート（ブルーミングデールズ、メイシーズ、ノルドストロム、シアーズ）が四隅に配置されており、各ゾーンが独自のスタイルで装飾されています。将来的には、北側への拡張により店舗数が最大900店舗まで増える計画も進行中です。

エンターテイメントの中心

モールの中央には、「The Park at MOA」という屋内型テーマパークがあります。かつて「キャンプ・スヌーピー」と呼ばれていたこのテーマパークは、屋内型としては全米最大規模を誇ります。2本のローラーコースターをはじめとする様々なアトラクションが、自然の景観を模した設計の中に配置されています。また、レゴのテーマエリア、AMCのシネマコンプレックス、巨大な水族館、さらには教会や結婚式場、学校まで、多様な施設が併設されています。

地域交通の要

モール・オブ・アメリカは、地域交通の拠点としての役割も担っています。ミネアポリスのライトレール・ハイアワサ線は、モールを南の起点としており、ミネアポリス・セントポール国際空港やダウンタウンへのアクセスを可能にしています。また、広範囲に路線バスが運行しており、モールはバスやライトレールのターミナルとなっています。

歴史

モール・オブ・アメリカは、トリプル・ファイブ・グループによって設計・建設されました。同グループは、カナダのエドモントンにあるウェスト・エドモントン・モールも運営しており、北米有数のショッピングモール開発企業です。モールは、かつてMLBのミネソタ・ツインズやNFLのミネソタ・バイキングスが本拠地としていたメトロポリタン・スタジアムの跡地に建てられました。

1986年に建設が合意され、1989年に着工。1992年8月11日にオープンしました。オープン当初は、店舗スペース、店舗数のいずれにおいても全米最大規模を誇っていましたが、世界最大ではありませんでした。

過去の課題と拡張計画

過去には、飲酒や喫煙に関する問題も発生しました。また、所有権をめぐって法廷闘争も繰り広げられましたが、2003年にトリプル・ファイブ・グループが筆頭株主として認められ、管理権限と計画権限を取り戻しました。

トリプル・ファイブ・グループは、2006年に大規模な拡張計画「フェイズII」を発表しました。これは、モールの北側に広がる旧スタジアムの跡地を利用し、ディナーシアター、アイスリンク、水上公園、ホテルを建設する計画で、完成すると現在の2倍以上の規模になる見込みです。しかし、資金難により計画は難航しており、今後の動向が注目されています。

駐車場と交通アクセス

モールには、東側と西側にそれぞれ7階建ての立体駐車場があり、合計約13,000台を収容可能です。さらに、北側と南側の平面駐車場、近隣駐車場を含めると約20,000台分の駐車スペースが確保されています。しかし、駐車場はあくまで買い物客向けであり、ライトレールでの通勤客の利用は推奨されていません。空港利用客が駐車場に車を停めてライトレールに乗り継ぐことも禁止されています。

モール・オブ・アメリカは、単なるショッピングセンターにとどまらず、多様なエンターテイメントと利便性を兼ね備えた、アメリカを代表する複合施設です。

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