ヤエヤマコクタン

ヤエヤマコクタン (Diospyros ferrea)

ヤエヤマコクタンは、沖縄に生息する特別な黒檀の一種であり、その学名はDiospyros ferreaです。この木はリュウキュウコクタンとも呼ばれ、またヤエヤマクロキとも称されています。沖縄語では「ヤエヤマクルチ」や「エーマクルチ」と呼ばれ、八重山列島に特有の植物として広く知られています。特に沖縄県石垣市では、1977年10月にこの木を市の木として定めています。

特徴

ヤエヤマコクタンは常緑高木で、葉は倒卵形または倒卵状の楕円形をしており、長さは約3〜6センチメートルで、革質の質感が特徴的です。葉の美しい緑色は、沖縄の自然環境と調和し、多くの人々に親しまれています。成長すると、立派な木へと育ち、その姿は地域の景観に魅力を与えています。

利用

この木の心材は黒色で非常に硬く、重量があるため、加工が難しいです。そのため、主に楽器や美術品などの高級品に利用されます。特に、沖縄の伝統楽器である三線の材料として使用されることが多いです。さらに、ヤエヤマコクタンの果実は楕円形で長約1センチメートルあり、種子は食用として利用されることもあります。

ヤエヤマコクタンは、街路樹や防風林、防潮林としても利用され、観賞用の庭木としても人気があります。しかし、その特殊な特性と成長の遅さから、資源の枯渇が問題になっており、保護対象となっている地域も増加しています。日本の環境省が発行している維管束植物レッドデータブックにも記載されており、その保護の重要性が強調されています。

分布と生育環境

ヤエヤマコクタンの原産地はインドであり、日本国内では薩南諸島や鹿児島県、沖縄県に分布しています。また、東南アジアや台湾、中国南部にも広がっています。日本では、八重山列島で伐採された材のみをヤエヤマコクタンと称する慣例がありますが、一部の地域でのリュウキュウコクタンも実際には同じ種です。琉球大学による分析では、地域による微細な成分の違いが見られるものの、大きな相違はありません。このため、東南アジア産の黒木を沖縄に移植しても、同一の成分となることが示され、分類上は同じ種であるとされます。

他の黒檀と混同されることもありますが、縞黒檀やカマゴンと呼ばれる種類は南方黒檀とされ、ヤエヤマコクタンとは異なります。また、しばしばアフリカ黒檀と呼ばれるアフリカンブラックウッドもありますが、こちらはマメ科に属し、黒檀ではないことが一般的に知られています。

シノニム

ヤエヤマコクタンにはいくつかのシノニムがあり、これについてはキューガーデンの「World Checklist of Selected Plant Families」などの資料によって確認できます。

参考文献

• - 「日本大百科全書」小学館

外部リンク

• - リュウキュウコクタンの詳細

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