ヤクシソウ

ヤクシソウ（薬師草）

ヤクシソウ（学名：Youngia denticulata）は、キク科オニタビラコ属の二年草です。別名としてウサギノチチなどがあり、これは葉や茎を傷つけると白い乳液を出すことに由来します。

特徴

草丈は30cmから120cm程度まで成長します。生育初期には根生葉が見られますが、開花期にはほとんどなくなり、茎葉が主体となります。茎葉は基部が茎を抱くように張り出しています。葉は互生し、長さは5cmから10cm、幅は2cmから5cm程度の長楕円形または倒卵形をしています。茎や葉を折ると、苦味のある白い乳液が出ます。

花期は9月から11月にかけてで、枝の上部に直径1.5cmほどの黄色い花を密集させて咲かせます。花は開花時は上向きですが、花が終わると下向きになります。

和名の由来には諸説あり、特定されていません。葉の形が薬師如来の光背に似ているという説や、かつて薬草として皮膚の腫れ物などに外用されていたことに由来するという説があります。中国名は「苦菜」です。学名の「denticulata」は、「細歯のある」という意味を持っています。

分布

ヤクシソウは、朝鮮半島、中国、台湾、インドネシア、ベトナム、インドなど、東アジアから東南アジアにかけて広く分布しています。日本国内では、北海道、本州、四国、九州、屋久島などの日当たりの良い乾いた山野に自生します。奥秩父や四国山地などの石灰岩、蛇紋岩地帯の岩壁にも見られます。林道造成後の斜面など、裸地にもいち早く侵入するパイオニア植物としての性質も持っています。

シノニム

Crepidiastrum denticulatum (Houtt.) J.H.Pak et Kawano
Paraixeris denticulata (Houtt.) Nakai

近縁種

ヤクシソウの花は、アキノノゲシやハナニガナなど、同じキク科の植物と外観が似ています。

イワヤクシソウ (Youngia yoshinoi)：岡山県の石灰岩地帯に分布する種で、別名ナガバノヤクシソウとも呼ばれます。環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類（絶滅寸前種）に指定されています。
ハナヤクシソウ（Youngia denticulata f. pinnatipartita (Makino) Kitam. ）：葉が羽状に深く裂ける品種です。

関連項目

* オニタビラコ

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