ヤクート自治ソビエト社会主義共和国

ヤクート自治ソビエト社会主義共和国

ヤクート自治ソビエト社会主義共和国（略称：ヤクートASSR）は、ソビエト連邦内のロシア・ソビエト連邦社会主義共和国に属していた自治共和国です。サハ語では「Саха автономнай сэбиэскэй социалистическэй республиката」、ロシア語では「Якутская Автономная Советская Социалистическая Республика」と表記されました。この地域は、13世紀に中央アジアから移住してきたとされるサハ人（ヤクート人）が中心となって形成されました。

歴史的背景

伝説によれば、12世紀にはサハの王国が存在したとされています。その後、この地域は極東と北東アジア攻略の支援を条件にロシア・ツァーリ国へ自主的に参加しました。この地にはサハ人のほか、チュクチ、ユカギール、ドルガン、エヴェンキ、エヴェンといった先住民族が暮らしていました。

ロシア内戦中は白軍の影響下にありましたが、赤軍が占領後、1922年4月27日にサハ人の自治共和国として設立されました。これはソ連初期の民族政策「コレニザーツィヤ」の一環でした。しかし、形式的には自治共和国とされたものの、実際にはモスクワから派遣された政治家が実権を握り、自治とは名ばかりの状況でした。

地理と気候

ヤクートASSRの面積は3,103,200平方キロメートルと広大で、1926年には約289,000人が居住していました。首都はヤクーツクです。気候は非常に厳しく、冬には気温が摂氏-50度以下にまで低下します。ヤクーツクは広大なため、モスクワ時間との時差が+6、+7、+8時間の3つの範囲にまたがっていました。人口密度はソ連邦内でも最も低い地域の一つでした。

資源と産業

ヤクートASSRは豊富な鉱物資源に恵まれており、石油、石炭、金、ダイヤモンド、錫、大理石、岩塩、天然ガスなどが採掘されました。特に、アルダンの金鉱は早期に開発が進められました。石油とガスの埋蔵地は南西部に集中しており、大規模な油田やガス田が存在しました。このため、ヤクートの工業は資源の生産と加工に特化していました。

交通と人口

交通インフラの未整備が、この地域における開発の大きな妨げとなっていました。陸路が十分に整備されていなかったため、水路、特にレナ川が重要な交通手段でした。粛清による流刑や金鉱山開発のための移住により人口は徐々に増加し、資源開発のためにシベリアに送られた労働者が強制労働に従事させられました。これらの影響で、ロシア人の人口も増加しました。1931年にはヤクート人が81.6%を占めていましたが、1960年代には多数派が入れ替わり始め、1989年には人口が約109万4千人に達しました。

その後の歴史

1950年代には国内西部に大規模なダイヤモンド鉱山が、1960年代には南部にウラン鉱脈が発見されました。また、1974年から1987年の間には、12回の地下核実験が行われました。

ソ連崩壊に伴い、ヤクートASSRは1990年9月27日に廃止され、ヤクート・サハソビエト社会主義共和国へと名称を変更。その後、サハ共和国へと移行しました。

関連項目

シベリア
コルィマ鉱山



人口の変化

1926年: 289,000人
1931年: ヤクート人81.6%、エヴェンキ人4.6%、その他3.4%、ロシア人10.4%
* 1989年: 約1,094,000人

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