ヤヌシュ・ラジヴィウ (1579-1620)

ヤヌシュ・ラジヴィウ：ポーランド・リトアニアのマグナート、その生涯

ヤヌシュ・ラジヴィウ（1579年 - 1620年）は、ポーランド・リトアニア共和国の貴族（マグナート）であり、公爵の称号を持つ人物でした。彼はリトアニア副酒膳官、ヴィリニュス城代、ボリソフ代官といった要職を歴任し、その影響力を行使しました。

生い立ちと結婚

ヤヌシュは、リトアニア大ヘトマンを務めたクシシュトフ・ラジヴィウ・ピョルン公と、コンスタンティ・ヴァシーリ・オストログスキ公の娘カタジナの間にヴィリニュスで生まれました。弟には、ヘトマン、セイム議長として活躍したクシシュトフ・ラジヴィウがいます。

1600年、ヤヌシュはゲディミナス朝の流れを汲むオレルコヴィチ＝スウツキ家の相続人ゾフィアと結婚しました。この結婚によってラジヴィウ家の財産はさらに拡大しました。1612年にゾフィアが亡くなると、ヤヌシュは7つの城、宮殿、そして32もの村を含む莫大な遺産を相続しました。ゾフィアは死後、「スウツクのゾフィア」としてベラルーシ正教会で列聖されています。1613年、ヤヌシュはブランデンブルク選帝侯ヨハン・ゲオルクの娘エリーザベト・ゾフィーと再婚し、息子ボグスワフをもうけました。

ラジヴィウ家と国家の利害のずれ

ヤヌシュの時代になると、ラジヴィウ家と国家の利害関係にずれが生じるようになりました。ラジヴィウ家は、一族の利益を優先し、富と権力を蓄えながら、プロテスタント信仰とリトアニア民族文化を保護するという伝統的な政治姿勢を維持しようとしました。しかし、共和国全体の利益を考慮しない姿勢は、次第に問題視されるようになっていきました。

軍事活動と反乱

父クシシュトフと同様に、ヤヌシュはリヴォニアでスウェーデンとの戦いに参加しました。1606年には、ゼブジドフスキの反乱に首謀者の一人として加わり、国王ジグムント3世に公然と反旗を翻しました。しかし、この反乱から具体的な見返りを得ることはできませんでした。この反乱は、国王ジグムント3世が目指した王権強化（世襲君主制、追加課税、大規模な常備軍の導入）を阻止するために結成されたものでした。

ヤヌシュ・ラジヴィウは、莫大な財産を背景に、政治的、軍事的に大きな影響力を持った人物でした。しかし、その行動は常に国家全体の利益と一致していたわけではなく、時に反乱にも関与するなど、複雑な側面も持ち合わせていました。

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