ヤング歌の祭典

ヤング歌の祭典

『ヤング歌の祭典』は、日本放送協会（NHK）により、1975年から1978年までの4年間、毎年5月に放送された特別企画の歌謡番組です。当時既に人気番組であった『NHK紅白歌合戦』や『思い出のメロディー』に続く、新たな大型歌謡番組として企画されました。

この番組の最大の特徴は、出演者の顔ぶれにありました。当時の音楽シーンで輝きを放っていた人気若手スター歌手と、これから羽ばたこうとするフレッシュな有望新人歌手たちが一堂に会したのです。彼らはNHKホールに集結し、世代を代表するアーティストとして、文字通り華やかな「歌のパレード」を繰り広げ、多くの音楽ファンを魅了しました。

放送は、開始当初から総合テレビとラジオ第1の双方で行われました。しかし、1978年の第4回においては、テレビ放送が5月2日に、ラジオ放送が5月5日に行われるという変則的な形式となりました。これは、第4回放送日の夜にラジオ第1でプロ野球中継が組まれていたためであり、当時の放送事情をうかがわせる一幕です。

番組の進行役、すなわち司会は、第3回まではNHKアナウンサーであった山川静夫氏が務めました。氏の安定感ある司会ぶりが番組を支えましたが、最終回となる第4回では司会者が変更されます。この回では、出場歌手がいくつかの組に分かれ、その組のキャプテンを務める歌手たちが司会を兼任するという形式が取られました。具体的には、春組キャプテンとして西城秀樹さんと桜田淳子さん、夏組キャプテンとして狩人さんとピンク・レディー、秋組キャプテンとして郷ひろみさんと森昌子さん、冬組キャプテンとして野口五郎さんと山口百恵さんが、それぞれ進行役を務めました。

番組の構成にも変化が見られました。特に第3回からは、出場歌手を彼ら自身の誕生日によって、春組（おひつじ座、おうし座、ふたご座）、夏組（かに座、しし座、おとめ座）、秋組（てんびん座、さそり座、いて座）、冬組（やぎ座、みずがめ座、うお座）の4組に分けるというユニークな方式が導入されました。

番組を彩った出演者は、当時の人気ぶりがうかがえる錚々たる顔ぶれでした。例えば、第1回には西城秀樹さん、郷ひろみさん、山口百恵さん、桜田淳子さん、森昌子さんといった当時のトップアイドルたちに加え、岩崎宏美さん、太田裕美さん、片平なぎささん、小坂明子さんなどの新人・若手実力派、さらにはフィンガー5、ずうとるび、ジャニーズ・ジュニア・スペシャルといった人気グループが出演しました。回を重ねるごとに、野口五郎さん、キャンディーズ、ピンク・レディー、新沼謙治さん、荒川務さん、高田みづえさん、渡辺真知子さん、原田真二さん、Charさん、世良公則&ツイストさん、狩人さんなど、時代の最先端をゆく様々なジャンルのアーティストが出演し、その年の音楽シーンを映し出す鏡のような役割も果たしました。最終回となる第4回には、石野真子さん、榊原郁恵さん、大場久美子さん、レイジー、渋谷哲平さんなど、この時期に台頭してきた新たなスターたちも多数登場し、まさに当時の「ヤング」な音楽シーンを網羅した豪華な出演者リストとなりました。

番組では、テーマ曲として『I Believe in Music』が使用されました。この曲はMac Davisが作詞・作曲し、沢田研二さんが日本語の訳詞を手がけたものです。

短命ながらも、当時の若手・新人歌手の登竜門的な側面を持ち、華やかなステージで視聴者に感動を与えた『ヤング歌の祭典』は、1970年代後半の日本の歌謡史における特筆すべき番組の一つと言えるでしょう。

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