ヤン・アクセル・ブロンベルク

ヤン・アクセル・ブロンベルク（ヘルハマー）

ヤン・アクセル・ブロンベルク（Jan Axel Blomberg、1969年8月2日生まれ）は、ヘルハマー (Hellhammer) のステージネームで知られる、ノルウェー出身のブラックメタルミュージシャン、特にドラマーとして著名です。彼の音楽キャリアは非常に幅広く、数多くのバンドに参加し、その卓越した才能を発揮してきました。

生い立ちと初期の音楽への関心

幼少期、ブロンベルクはサッカーとレスリングに熱中していましたが、音楽への興味が芽生えるにつれて、徐々にドラムに惹かれるようになりました。祖父母から3回ドラムセットを贈られたことがきっかけで、彼は音楽を聴きながらドラムを演奏し、独学で技術を磨きました。アイアン・メイデンやスレイヤーといったヘヴィメタルバンドに加え、デペッシュ・モードやデュラン・デュランなど、多様なジャンルの音楽からも影響を受けました。特に、ヴェノムやセルティック・フロスト、そしてジャズへの傾倒は、初期のドラム教師からの影響が大きかったとされています。

ミュージシャンとしての歩み

メイヘムへの加入

メイヘム加入前は、地元の様々なバンドで活動していました。その中には、プログレッシヴメタルバンドのTritonusも含まれており、そこで彼は後にアークチュラスやウィンズで共に活動するCarl August Tidemannと出会いました。アークチュラスでライブ活動を行う傍ら、彼はメイヘムに加入しました。当時、メイヘムはドラマーのマンハイムの脱退により、後任を探していました。メイヘム加入後、ブロンベルクはヘルハマーというステージネームを使用するようになりました。

メイヘムでの最初のレコーディングは、1989年のコンピレーション・アルバムに収録された「Carnage」と「The Freezing Moon」の2曲でした。その後、1990年にライブ・アルバム『Live in Leipzig』をリリース。しかし、ヴォーカリストのデッドの自殺やネクロブッチャーの脱退など、バンドは困難な時期を迎えます。ヘルハマーとユーロニモス以外のメンバーが定まらない状況が続きましたが、1992年秋からアッティラ・シハーとヴァルグ・ヴィーケネスをセッションメンバーとして迎え、ファーストアルバムのレコーディングを開始しました。しかし、1993年8月にユーロニモスがヴァルグに殺害されるという悲劇が起こり、メイヘムは一時解散してしまいます。

アークチュラスの結成と活動

メイヘムでの活動と並行して、1990年にはアークチュラスをSteinar Sverd Johnsenと共に結成しました。アークチュラスは、元々1987年に結成されたモーテムというバンドが基になっていますが、モーテムがそのままアークチュラスになったわけではありません。アークチュラスは1991年にEP『My Angel』でデビューし、その後ミニアルバム『Constellation』もリリースしました。

メイヘムの再結成と更なる活動

1994年、ヘルハマーはネクロブッチャーと共にメイヘムを再結成。一時解散説も流れましたが、現在も活動を続けています。1995年には、イモータルのライブセッションとしてツアーに参加し、イモータルの最初のPV「Grim and Frostbitten Kingdoms」にも出演しました。また、同年には短期間エンペラーにも参加し、アークチュラスの1stアルバム『Aspera Hiems Symfonia』をレコーディング、リリースしました。

1997年には、コヴナントに加入し、セカンドアルバム『Nexus Polaris』から参加しました。コヴナントは1999年にザ・コヴナントに名前を変更し、音楽性をメロディックブラックメタルからインダストリアル・メタルに転換しましたが、ヘルハマーは継続して参加し、『Animatronic』、『S.E.T.I.』に参加しました。2003年に脱退。また、同じく1997年にはアークチュラスのセカンドアルバム『La Masquerade Infernale』がリリースされました。

スペルマン賞の受賞

ヘルハマーは1998年と1999年に、ノルウェーのグラミー賞であるスペルマン賞を2度受賞しています。これは双方ともザ・コヴナントに対して贈られたもので、2年連続でベスト・ハードロック・アルバム賞を受賞しました。

その他のバンドへの参加

1998年には、ザ・コヴナントで同僚だったナガシュが中心のバンド、トロルに加入し、2003年まで在籍しました。2000年には、プログレッシヴメタルバンド、ウィンズを結成し、ミニアルバム『Of Entity And Mind』をレコーディング、翌年にリリースしました。同年には、ウィンズのデビューアルバム『Of Entity And Mind』をリリースしました。2001年には、インダストリアルブラックメタルバンド、Mezzerschmittをメイヘムで同僚のブラスフェマーと共に結成。また、ノルウェーのヘヴィメタルシンガー、ヨルン・ランデのソロプロジェクト、ヨルンに参加し、シャイニングにも加入して2枚のアルバムに参加しました。

2004年には、アヴァンギャルドメタルバンド、エイジ・オヴ・サイレンスを結成し、1枚のアルバムに参加しました。また、Antestorにも加入し、翌年まで在籍して1枚のEPとアルバムに参加しました。2005年には、Metal: A Headbanger's Journeyで、他のメイヘムのメンバーと共にミニインタビューに応じました。また同年から、ディム・ボルギルにセッションで参加し、1枚のアルバムと数枚のシングルに参加しました。2007年には、Umoralにも参加し、1枚のEPをリリースしました。2011年には、ギリシャのブラックメタルバンド、Lord Impalerのアルバムに参加し、同年アークチュラスが復活しました。

ディスコグラフィー（一部）

ヘルハマーは、これまでに数多くのアルバムやEPに参加しています。以下は、彼の主要な参加作品の一部です。

メイヘム (Mayhem)
Live in Leipzig (1993)
De Mysteriis Dom Sathanas (1994)
アークチュラス (Arcturus)
Aspera Hiems Symfonia (1996)
La Masquerade Infernale (1997)
ザ・コヴナント (The Kovenant)
Animatronic (1999)
SETI (2003)
ディム・ボルギル (Dimmu Borgir)
* In Sorte Diaboli (2007)


ヘルハマーは、ブラックメタル界におけるドラムの革新者の一人として、その才能と幅広い活動で多くのミュージシャンに影響を与え続けています。

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