ユウフヨウホウ

ユウフヨウホウ：中山大障害のシンデレラストーリー

1997年3月19日生まれの競走馬、ユウフヨウホウ。その名は冠名「ユウ」と「芙蓉峰」を組み合わせたものです。彼は、華々しい競走生活を送った兄弟姉妹に恵まれたサラブレッドでした。全兄には長距離重賞で3勝を挙げたユウセンショウ、半兄には中山グランドジャンプを連覇したゴーカイ、そして半弟には障害競走で幾度も落馬を経験したマイネルユニバースがいます。

ユウフヨウホウの競走馬としてのキャリアは2000年3月、中京競馬場での4歳未出走戦から始まりました。しかし、デビュー戦は11頭立ての9着と振るわず、その後も芝の長距離戦で6戦をこなしましたが、最高でも5着止まりでした。兄ゴーカイの活躍を間近で見ていた彼は、同年10月、障害競走への転向を決断します。

障害デビュー戦は5着に終わりましたが、持ち前の才能を開花させ始め、4戦目で初勝利を挙げました。昇級後も3着、2着と好成績を残すものの、その後は勝ち馬から大きく差をつけられるレースが続きました。

そして、運命の2001年暮れ。中山大障害の舞台が彼を待ち受けていました。10頭立ての少頭数レース。1番人気は、中山グランドジャンプを連覇し、このレースでも2年連続2着という実績を持つ兄ゴーカイ。2番人気は、東京ハイジャンプを制し、前走では9馬身差の圧勝という圧倒的な強さを見せたカネトシガバナーでした。対してユウフヨウホウは、単勝100倍を超える最低人気という立場でした。

レースは、カネトシガバナーが先頭に立ち、ハイペースで展開されました。しかし、レースは予想外の展開に。マキハタコンコルド、ギフテッドクラウン、そしてカネトシガバナーと、上位人気馬が次々と落馬するアクシデントに見舞われました。計4頭もの落馬という荒れたレース展開の中、早々と先頭に立ったゴーカイは、悲願の中山大障害制覇に手が届くかと思われました。

しかし、最後の直線で、ユウフヨウホウが驚異的な末脚でゴーカイを差し切り、2馬身差で優勝。兄弟による1、2着というドラマチックな結果となりました。騎乗していた今村康成騎手にとっても、初の重賞勝利、それもJ・GIでの快挙でした。一方、ゴーカイはこのレースで3年連続の2着に終わり、翌年には競走馬を引退することになります。

その後、ユウフヨウホウは2度の落馬に見舞われ、勝ち馬から大きく離されるレースが続きました。掲示板に載ったのは、6頭もの落馬があった2003年の阪神スプリングジャンプでのみ。2005年の同レースを最後に、彼は競走馬としてのキャリアに幕を閉じました。生涯でわずか2勝、2着1回という成績でしたが、中山大障害での奇跡的な勝利は、多くの人の記憶に刻まれています。

引退後は、名古屋学院大学馬術部で馬術競技馬として活躍し、その後静岡県磐田市の磐田若葉乗馬クラブへ移動しました。最低人気からの大逆転劇、そして引退後も新たな道を歩むユウフヨウホウの物語は、競走馬としての成功とは何かを問いかける、忘れられない一編と言えるでしょう。

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