ユスケ銀行

ユスケ銀行（Jyske Bank）

デンマークのユトランド半島中央部、シルケボーに本店を構えるユスケ銀行は、国内有数の規模を持つ総合金融機関です。その名称はデンマーク語で「ユトランドの銀行」を意味しており、地域に根ざした金融機関としての性格を強く打ち出しています。ナスダック・コペンハーゲン証券取引所に上場しており（ティッカーシンボル: JYSK）、デンマーク国内には100近い店舗を展開し、個人および法人顧客に対して幅広い金融サービスを提供しています。

沿革

設立と初期の発展

ユスケ銀行は1967年7月、ユトランド半島の四つの地方銀行、すなわちシルケボー銀行、Kjellerup Bank、Kjellerup Handels- & Landbrugsbank、そしてHandels- & Landbrugsbanken i Silkeborgが統合されて誕生しました。合併後の初代最高経営責任者（CEO）には、旧シルケボー銀行の取締役であったポール・ノラップが就任しました。彼は1989年に退任するまで、その型破りな経営手法で知られました。特に、当時の慣行であった金利協定の見直しを試みたり、自由競争を制限する業界団体からユスケ銀行を脱退させるなど、既存の枠にとらわれない経営戦略を推進しました。これらの試みから、ノラップCEOはデンマーク国内で「水槽の中のナマズ（The catfish in the tank）」という異名で呼ばれるようになりました。この「ナマズ」が他の「魚」に刺激を与え、業界全体の活性化を促す存在と見なされたのです。彼のリーダーシップの下、ユスケ銀行は首都コペンハーゲン以外の地方都市を拠点としながらも、国内全域にネットワークを持つ唯一の銀行へと成長を遂げました。

事業の多角化と拡大

事業領域の拡大も積極的に行われました。1980年には投資銀行であるフィナンスバンケンを買収し、投資銀行業務を強化しました。これにより、企業の資金調達やM&A支援など、より高度な金融ニーズに応える体制を構築しました。さらに、地理的な制約を受けずに銀行サービスを利用できる仕組みとして、1982年にはメールオーダー方式の銀行サービスを開始しました。これは、当時としては革新的な試みであり、顧客利便性の向上に貢献しました。

困難と改革

しかし、順風満帆な道のりだけではありませんでした。1991年には、ジブラルタルに置いていた子会社で大規模な土地取引に関わるローンの水増しが発覚し、問題となりました。この不正行為の最終的な解決には2005年まで長期間を要しましたが、この経験は同行に教訓をもたらしました。問題を乗り越える過程で、ユスケ銀行は取引の透明性を高め、内部統制を強化するための抜本的な改革を実行しました。

デジタル化と近年の動向

時代の変化に合わせて、デジタル化にもいち早く対応しました。1998年にはインターネットバンキング事業を開始し、顧客がオンラインで取引できる環境を整備しました。近年では、事業ポートフォリオの見直しも行われており、2020年にはかつて問題となったジブラルタルの子会社を売却しました。さらに、2022年にはスウェーデンの大手金融機関であるスベンスカ・ハンデルスバンケンのデンマーク国内事業を買収し、国内市場におけるプレゼンスを一層強化しました。

スポーツへの支援

ユスケ銀行は、地域社会への貢献活動にも積極的です。特にスポーツ分野への支援は長く続いており、1991年以降、地元のサッカークラブであるシルケボーIFの主要スポンサーを務め続けています。これは、地域との結びつきを大切にする同行の姿勢を示すものです。

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