ユナイテッド・ステーツ (空母)

USSユナイテッド・ステーツ(CVA-58)とは

USSユナイテッド・ステーツ(CVA-58)は、アメリカ海軍が計画した航空母艦であり、「合衆国」を意味する「United States」の名を冠した3番目の艦船でした。第二次世界大戦後のアメリカ海軍が、ジェット機運用を前提とした超大型空母を求めた結果、その革新的なデザインが注目されました。

計画の背景

第二次世界大戦中、アメリカ海軍は多数の航空母艦を建造し、戦後にはミッドウェイ級という大型空母を就役させました。しかし、ジェット機の登場により、より大型でジェット機運用を前提とした空母が必要とされるようになりました。そこで、従来の空母のデザインを一新する超大型空母の計画が立案され、その一番艦として「ユナイテッド・ステーツ」が予定されました。

1948年 7月29日、トルーマン大統領は5隻の超大型空母の建造を承認し、翌年には予算も承認されました。1949年 4月18日には、ニューポート・ニューズ造船所で起工されました。この空母は、上陸作戦支援や海上戦闘指揮機能も有していましたが、その主な任務は長距離核攻撃でした。当時の核兵器は大型であり、それを搭載できる艦載機の運用には、大型の空母が不可欠でした。

計画中止とその後

「ユナイテッド・ステーツ」の建造は、空軍から戦略[[核兵器]]の独占に対する挑戦とみなされ、強い反対を受けました。また、資金上の制約も重なり、国防長官は起工からわずか5日後の4月23日に建造中止を発表しました。この決定に抗議し、海軍長官は辞任しました。この経緯から、「ユナイテッド・ステーツ」は「アメリカ空軍が撃沈した唯一の空母」と皮肉られることもあります。

しかし、その後、核爆弾の小型化や艦載機の能力向上により、1950年には「フランクリン・D・ルーズベルト」で航空母艦からの核兵器運用が可能となりました。また、「ユナイテッド・ステーツ級」に代わる大型空母の計画も1950年代に実現し、1951年に発注された「フォレスタル」がその最初となりました。

設計の特徴

「ユナイテッド・ステーツ」は、全通甲板を持つ航空母艦として、総重量45トンに及ぶ大型航空機の運用を可能にする設計でした。搭載予定の艦載機には、5トンの搭載量を持つダグラスXA3Dがあり、初期の核兵器を搭載できました。アイランドを持たないデザインで、4基の艦載機用エレベータと4基のカタパルトを装備していました。建造予算は1億9,000万USドルと見積もられ、随伴する機動部隊の艦艇建造には12億6,500万USドルが必要とされました。

不運な艦名

「ユナイテッド・ステーツ」という名前は、過去にも2度、別の艦に付けられそうになりながら実現しませんでした。1度目は、約40年前にレキシントン級巡洋戦艦の6番艦として起工されたものの、ワシントン海軍軍縮条約により建造が中止されました。2度目は、ニミッツ級原子力空母の8番艦CVN-75の候補として挙がったものの、「ハリー・S・トルーマン」と命名され、ニミッツ級最終艦の候補にも挙がりましたが、「ジョージ・H・W・ブッシュ」と命名され、結局「ユナイテッド・ステーツ」の名前が使われることはありませんでした。

現在のアメリカ海軍の空母は、例外を除き、歴代大統領や海軍関係者の名前が付けられることが多いため、「ユナイテッド・ステーツ」の名前が再び使われる機会は当面ないと考えられています。

登場作品

漫画

『ヤマタイカ』
星野之宣の漫画作品で、朝鮮戦争中に就役した設定で登場します。艦名は「ユナイテッド・ステイツ」と表記され、艦番号は「CV-58」に変更され、アイランドが設置されています。作中では、解体される予定だったものが、復活した戦艦「大和」に対抗するため、電磁場発生システムを搭載し、東京湾で「大和」に体当たりするという、架空の活躍を見せています。

小説

『氷山空母を撃沈せよ！』
伊吹秀明の小説に、氷山空母「ハボクック」の試作艦として登場し、日本軍に鹵獲され「富嶽」と名付けられるという設定で登場します。

外部リンク

* DANFS History of the Worlds Navy Ships - ウェイバックマシン（英語）

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