ユナイテッド・ローンチ・アライアンス

ユナイテッド・ローンチ・アライアンス（United Launch Alliance, ULA）は、ロッキード・マーティン社とボーイング社の宇宙事業部門が統合して設立された合弁会社です。2006年12月に設立され、主にアメリカ合衆国連邦政府向けにロケット打ち上げサービスを提供しています。顧客には、アメリカ国防総省やアメリカ航空宇宙局（NASA）などが含まれます。

ULAは、使い捨て型ロケットであるデルタII、デルタIV、アトラスVなどを運用しています。これらのロケットは、過去50年以上にわたり、気象衛星、通信衛星、偵察衛星といった様々なペイロードの打ち上げに利用され、深宇宙探査や惑星間探査といった科学研究ミッションにも貢献してきました。また、政府機関だけでなく、非政府組織向けの打ち上げサービスも提供しています。ロッキード・マーティン社とボーイング社は、それぞれアトラスロケットとデルタロケットの商業打ち上げ権を保持しています。

ULAの本部はコロラド州センテニアルに位置し、運用、技術開発、試験、ミッション支援などを行っています。ロケットの製造と組み立てはアラバマ州ディケーターとテキサス州ハーリンジェンで実施され、打ち上げはフロリダ州のケープカナベラル空軍基地やカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地から行われます。

歴史

ULA設立の動きは、2005年5月2日にボーイング社とロッキード・マーティン社が合弁事業を発表したことから始まりました。両社はそれぞれの政府向け衛星打ち上げ事業を統合し、アラバマ州ディケーターとコロラド州リトルトンの工場に集約しました。当時、ボーイング社のデルタIVとロッキード・マーティン社のアトラスVは、連邦政府向けの発展型使い捨てロケット市場で激しい価格競争を繰り広げていました。

一方、スペースX社はファルコン9ロケットでの市場参入を目指し、2005年10月23日にULAの設立が独占禁止法に違反すると訴訟を起こしました。しかし、2006年1月7日、アメリカ国防総省はULAに対して予備承認を与え、同年9月には国防総省はULAへの支援を延長し、連邦取引委員会（FTC）もこれを支持しました。2006年10月3日、FTCは独占禁止法に抵触しないと判断し、ULAは2006年12月1日に正式に操業を開始しました。

2022年4月には、ULAはAmazon.comとヴァルカンロケットによる「プロジェクト・カイパー」の低軌道衛星打ち上げ契約を締結しました。この契約では、38回の打ち上げが予定されています。

2023年以降、ULAの買収の可能性が報じられており、宇宙ベンチャーのブルーオリジン、投資会社のサーベラス・キャピタル・マネジメント、航空宇宙企業のシエラ・スペースなどが買収候補として名前が挙がっています。

打上げ

ULA初の打ち上げは、2006年12月14日にヴァンデンバーグ空軍基地からデルタIIロケットによって行われました。この打ち上げでは、アメリカ国家偵察局のUSA 193衛星が搭載されましたが、打ち上げ直後に故障し、2008年2月21日にタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦レイク・エリーから発射されたSM-3ミサイルによって意図的に破壊されました。

2007年6月15日、ULAが打ち上げたアトラスVロケットの上段セントールエンジンの早期停止により、アメリカ国家偵察局のL-30海洋偵察衛星が予定より低い軌道に投入されるという事態が発生しました。この問題を受け、同型のRL-10上段エンジンを搭載するアトラスVとデルタIVの打ち上げが一時的に延期されました。原因は、生産が終了した古いバルブの代替として使用された新しい型のバルブにあると特定され、対策として古いバルブの生産が再開されました。

アトラスVとデルタIVの商業打ち上げは、現在もそれぞれロッキード・マーティン・コマーシャル・ローンチ・サービシズとボーイング・ローンチ・サービシズによって行われています。

関連項目

ユナイテッド・スペース・アライアンス
商業宇宙飛行連盟

外部リンク

* United Launch Aliance公式サイト (英語)

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