ユニヴェル・ゼロ

ユニヴェル・ゼロ（Univers Zero）は、1974年にドラマーのダニエル・ドゥニによって結成された、ベルギーのプログレッシブ・ロック・バンドです。インストゥルメンタルを中心とした、重厚で独特な音楽性で知られています。

バンドの歴史

1973年、クロード・ドゥロンとダニエル・ドゥニは、以前に在籍していたバンド「アーカム (Arkham)」の解散後、新たなグループ「ネクロノミコン (Necronomicon)」を結成します。初期のメンバー構成は、ドゥロン（トランペット）、ドゥニ（ドラム）に加え、ロジェ・トリゴー（ギター）、ギ・セジュール （ベース）、パトリック・アナピエ（ヴァイオリン）、ジョン・ヴァン・リーメナン（サックス）、そして後にヴァンサン・モトゥーユ（キーボード）が参加しました。ギ・ドゥニ（パーカッション）が一時的に参加し、ジャン=リュック・マンドゥリエ（キーボード）もリハーサルに加わっていました。

1974年、「ネクロノミコン」は「ユニヴェル・ゼロ」へと改名。バンドは、1970年代後半に隆盛したディスコやパンクとは対照的な、複雑で挑戦的な音楽を目指す「ロック・イン・オポジション（RIO）」と呼ばれる音楽運動に参加しました。バルトークやストラヴィンスキーといった作曲家からの影響に加え、ベルギーの作曲家アルベール・ユイブレシュトなど、比較的知られていない作曲家からも影響を受けています。

初期のアルバムは、オーボエ、スピネット、ハーモニウム、メロトロンなどのアコースティック楽器を多用していましたが、1980年代に入るとシンセサイザーやエレクトリック・ギターの使用が増え、よりエレクトリックなサウンドへと変化していきました。

1977年にリリースされたデビュー・アルバム『ユニヴェル・ゼロ』は、後にリミックスされ『1313』として再発されました。アコースティック楽器を主体としながらも、ドラムとベースがヘヴィなロックのアプローチを示唆しています。1979年のアルバム『異端』では、さらにダークなサウンドを追求。その後のアルバムでは、より電子的なサウンドを取り入れつつ、全体的なサウンドは一貫性を保っていました。

1987年にバンドは一度解散しますが、1999年に再結成を果たします。再結成までの間、ドラマーのダニエル・ドゥニは2枚のソロ・アルバムをリリースし、フランスのアール・ゾイにも参加しました。1999年以降、ユニヴェル・ゼロは5枚のスタジオ・アルバムを発表しています。

2011年、ユニヴェル・ゼロはベルギーのプレザンとアラニスという2つのグループと協力し、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ベルギー」という17人編成のアンサンブルを結成。フランスのカルモーで開催されたロック・イン・オポジション・フェスティバルで、クルト・ビュデ作曲の「New York Transformations」を初演しました。このアンサンブルとユニヴェル・ゼロは、ドキュメンタリー映画『アバウト・ロック・イン・オポジション』にも登場しています。

ディスコグラフィ (スタジオ・アルバム)

Univers Zero (1977年) ※『1313』として再発
Heresie (1979年)
Ceux du dehors (1981年)
Uzed (1984年)
Heatwave (1986年)
The Hard Quest (1999年)
Rhythmix (2002年)
Implosion (2004年)
Clivages (2010年)
Phosphorescent Dreams (2014年)
* Lueur (2023年)

ユニヴェル・ゼロは、プログレッシブ・ロックのジャンルにおいて、独特の地位を確立しているバンドと言えるでしょう。

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