ユリウス・シャウブ

ユリウス・シャウプ：ヒトラーの側近として

ユリウス・シャウプ（Julius Schaub, 1898年8月20日 - 1967年12月27日）は、ナチス・ドイツの政治家であり、アドルフ・ヒトラーの副官長を務めた人物です。親衛隊大将の地位にもありました。彼の生涯は、ナチス党の初期から第二次世界大戦終結まで、ヒトラーの側近として過ごしたことで特徴づけられます。

生い立ちとナチス党への参加

シャウプはバイエルン王国のミュンヘンで生まれ、薬剤師として働いていました。第一次世界大戦中には軍事病院に勤務しました。1920年10月10日、彼は国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）に入党（党員番号81）し、親衛隊の前身である「アドルフ・ヒトラー特攻隊」に入隊しました。ミュンヘン一揆の後、ヒトラーとともに投獄された経験も持ちます。

1925年、ナチ党再建後に親衛隊に入隊（隊員番号7）し、親衛隊の共同発起人の一人となりました。親衛隊における最終階級は親衛隊大将です。

ヒトラーの副官として

1925年1月1日、シャウプはヒトラーの個人秘書に採用され、1945年までヒトラーの側近として重用されました。総統主任副官のヴィルヘルム・ブリュックナーに次ぐナンバーツーの地位を確立し、1940年にブリュックナーが失脚した後、代わって総統主任副官となり、第二次世界大戦の敗戦までその地位を保持しました。

シャウプは、第3および第4回国会選挙で議員にも選出されました。1938年11月9日の水晶の夜事件では、シャウブの指揮下のヒトラー特攻隊がミュンヘンのユダヤ人商店を破壊し、シナゴーグに放火するなど、ユダヤ人に対する迫害を主導しました。ヨーゼフ・ゲッベルスの日記には、シャウブの行動を「野蛮な連中だ」と酷評する記述が残されています。

1945年4月23日、ヒトラーは戦争の敗北を悟り、総統地下壕内の個人文書をすべて処分するようシャウブに命じました。その後、ヒトラーはシャウブをベルリンからドイツ南部へ逃れるよう指示しました。この間、シャウブはヒトラーの文書処分にあたり、ミュンヘンのヒトラーのアパートとオーバーザルツベルクのベルクホーフで金庫に保管されていたすべての文書を焼却しました。

戦後と裁判

ドイツ降伏後の1945年5月8日、シャウブはアメリカ軍に逮捕され、1949年2月17日まで様々な収容所に収容されました。その後、非ナチ化裁判にかけられました。しかし、アメリカ軍事法廷もドイツ当局も、シャウプが1933年から1945年の間に行われた犯罪に関与していたことを知らなかったため（水晶の夜に関与していた事実などは2000年以降になってようやく判明しました）、彼は「同調者」と分類されるにとどまりました。

1953年、シャウプはヒトラーの御用写真家ハインリヒ・ホフマンと共に、とある裁判の証人として出廷し一時的に世間の注目を集めました。ミュンヘンで行われたこの裁判は、ヒトラーの遺品がヒトラーのミュンヘンにおける家政婦アンニ・ヴィンターによって不法に転売された事件に関するものでした。

晩年、シャウブは再びミュンヘンで薬剤師として働いていました。

栄典

シャウプは、その軍事および党への貢献により、数々の栄典を授与されています。以下はその主なものです。

軍事の受賞
戦争参加者名誉十字章

党及び民事の受賞
黄金ナチ党員章
血盟勲章 (1933年11月30日) 第296番
コーブルク闘争名誉章
党勤続章
勤続25年金章
勤続15年銀章
勤続10年銅章
親衛隊勤続章
勤続12年
勤続8年
勤続4年
古参闘士名誉章
オリンピック名誉章 2級
1938年3月13日記念メダル
1938年10月1日記念メダル プラハ城飾版付
1939年3月22日メーメル返還記念メダル
ダンツィヒ十字章
親衛隊名誉リング
親衛隊全国指導者名誉長剣
ドイツ赤十字名誉バッジ 3級

国外の勲章
くびきと矢の勲章 名誉騎士章
* イタリア王冠騎士団章 (1938年5月6日) 1等名誉騎士十字章

まとめ

ユリウス・シャウプは、アドルフ・ヒトラーの側近として、ナチス・ドイツの中枢で重要な役割を担った人物です。彼の生涯は、ナチス党の興隆から崩壊まで、その中心人物であったヒトラーと密接に関わり、多くの歴史的な出来事を目撃し、関与しました。彼の行動は、今日においても歴史的評価の対象となっています。

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