ヴィルヘルム・ブリュックナー

ヴィルヘルム・ブリュックナー：ヒトラーの副官

ヴィルヘルム・ブリュックナー（Wilhelm Brückner, 1884年12月11日 - 1954年8月18日）は、ドイツの軍人、政治家であり、アドルフ・ヒトラーの副官として知られています。彼はまた、突撃隊（SA）の幹部でもあり、最終階級は突撃隊大将（SA-Obergruppenführer）にまで昇進しました。

生涯

ブリュックナーはバーデン＝バーデンで生まれました。大学在学中に第一次世界大戦が勃発し、バイエルン砲兵連隊に入隊。中尉（Oberleutnant）まで昇進しました。戦後、義勇軍「エップ」に参加し、ミュンヘン・レーテ共和国の打倒に貢献しました。その後、大学に戻り、フィルム技師として働きました。

1922年、ブリュックナーは国家社会主義ドイツ労働者党（ナチ党）に入党。1923年11月のミュンヘン一揆では、突撃隊（SA）連隊「ミュンヘン」を指揮し参加しました。一揆の失敗後、警察・司法当局から一揆の首謀者の一人とみなされ、ヒトラーやエーリヒ・ルーデンドルフ将軍と共に共同被告人となりました。ブリュックナーは1年半の懲役刑を受けましたが、すぐに仮釈放されました。

ナチ党が再建された後、ブリュックナーは再び入党しましたが、ヒトラーとの意見の不一致から1925年5月1日に党を離れました。しかし、1930年9月1日には再入党を果たしました。

ヒトラーの主任副官

1930年8月1日、ブリュックナーはヒトラーの副官に任命され、9月1日にはナチ党に復党するとともに突撃隊に再加入しました（党員番号298,623）。1932年にはSA上級大佐に昇進し、1933年にはSA中将、1934年11月9日にはSA大将に昇進しました。

1933年からは、ヒトラー内閣の首班となり、1934年2月20日にヒトラーの主任副官に任命されました。親しみやすい人柄から、首相官邸を訪れる人々にも人気がありました。また、1936年からは国会議員となり、同年1月15日にはデトモルトの名誉市民となりましたが、1945年11月9日にこの名誉は剥奪されました。

第二次世界大戦が勃発すると、ブリュックナーは党内での重要性を失い、副官としての権限は軍や親衛隊の副官たちに奪われていきました。1940年、ヒトラーの決定により主任副官の職を解任されました。この解任の背景には、イタリア王太子のオーバーザルツベルク訪問時に、ヒトラーの山荘管理人であるアルトゥール・カンネンベルクと親衛隊将校との間で起きた対立がありました。ブリュックナーは親衛隊将校をかばい、カンネンベルクを批判したため、ヒトラーの怒りを買い、側近から外されることになりました。正式な解任は1941年4月1日でした。

その後、ブリュックナーは陸軍に入隊し、大尉（後に陸軍大佐まで昇進）としてドイツ占領下のフランスで勤務しました。

戦後、ブリュックナーはガソリンスタンドを経営し、1954年8月20日にヘルプスドルフで死去しました。

栄典

軍事の受賞

二級鉄十字章
戦傷章（金章）
バイエルン戦功章（1915年3月14日）
4級 王冠剣付
前線戦士名誉十字章

党及び民事の受賞

黄金党員名誉章（1938年1月30日）
血盟勲章（第7番）
コーブルク闘争名誉章（1936年）
党勤続章
勤続15年銀章
勤続10年銅章
古参闘士名誉章
1938年3月13日記念メダル
1938年10月1日記念メダル
プラハ城飾版付
1939年3月22日メーメル返還記念メダル
突撃隊名誉短剣
デトモルト名誉市民（1936年1月15日） ― 1945年11月9日に剥奪

参考文献

* Charles Hamilton著「LEADERS ＆ PERSONALITIES OF THE THIRD REICH VOLUME1」p140　ISBN 0912138270

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