ユングフラウ鉄道

ユングフラウ 鉄道とは

ユングフラウ鉄道（Jungfraubahn）は、スイスのベルナーオーバーラント地方に位置する登山[[鉄道]]です。19世紀末から20世紀初頭にかけて建設され、アイガー、メンヒ、ユングフラウといった名峰の山中をトンネルで貫き、ヨーロッパで最も高い場所にある鉄道駅、ユングフラウヨッホ駅（標高3454メートル）を目指します。

概要

路線距離: 全長9.3キロメートル
軌間: 1000ミリ
電化方式: 三相交流電化50ヘルツ1125ボルト
方式: シュトループ式ラックレールを用いたラック式鉄道
最大勾配: 250パーミル（日本の最急勾配区間の約3倍）
所要時間: クライネ・シャイデック駅からユングフラウヨッホ駅まで片道約35分

クライネ・シャイデック駅を出発後、アイガーとメンヒの山中をトンネルで通過し、ユングフラウの途中にあるユングフラウヨッホ駅へと到達します。かつてはトンネル内の駅で途中下車して周辺の山々を眺めることができましたが、現在はアイスメーア駅のみが停車駅となっています。

この鉄道は、単に観光客を輸送するだけでなく、ユングフラウヨッホの施設で使用される水などの物資輸送も担っています。また、インターラーケンからユングフラウヨッホに至る複数の鉄道を総称してユングフラウ鉄道（Jungfraubahnen）と呼ぶこともあります。

歴史

19世紀後半、ヨーロッパ各地で鉄道網が拡大する中、スイスでも観光客増加に伴い登山[[鉄道]]の建設が進められました。ユングフラウへの鉄道建設構想は1860年代からありましたが、資金難のため実現が困難でした。しかし、19世紀末には資金調達の目処が立ち、1896年に建設が開始されました。

蒸気機関車の使用が困難なため、電化方式が採用されました。電化方式には、一定速度での運行が容易で、下り坂での回生ブレーキが使用しやすい三相交流電化が選ばれました。電気は、豊富な水を利用した水力発電によって供給されました。

1898年9月19日にアイガーグレッチャー駅までの区間が開業し、部分的な営業が開始されました。その後、1903年6月28日にアイガーヴァント駅まで、1905年7月28日にアイスメーア駅まで開業しました。財政難で建設が一時中断されましたが、1912年8月1日にユングフラウヨッホ駅までの全線が開業しました。

建設中には、ユングフラウ山頂まで鉄道やロープウェイを建設する構想もありましたが、資金と高山病のリスクを考慮し、ユングフラウヨッホ駅を終点としました。トンネル内から景色を見るための展望台の構想は、設計者であるA.G.ツェラーによるものです。

駅

クライネ・シャイデック駅（Kleine Scheidegg）
ユングフラウ鉄道の始発駅で、ヴェンゲルンアルプ鉄道との乗換駅です。インターラーケン・オスト駅からは、ベルナーオーバーラント鉄道、ヴェンゲルンアルプ鉄道を乗り継いで到達します。駅前には山岳ホテルがあり、静かな時間を過ごせます。
アイガーグレッチャー駅（Eigergletscher）
この駅を出発すると、アイガーの山中を抜けるトンネルに入ります。2020年12月にアイガーエクスプレスが開通してからは、グリンデルヴァルト方面からの乗り換え駅としても機能しています。駅前からはアイガー氷河を間近に見ることができます。ここからクライネ・シャイデックまでハイキングコースが整備されています。
アイガーヴァント駅（Eigerwand）
「アイガーの壁」を意味する駅名で、アイガー北壁を望むことができます。かつては途中下車して展望台から景色を眺めることができましたが、2016年のダイヤ改正で全列車が通過するようになりました。
アイスメーア駅（Eismeer）
「氷の海」を意味する駅名で、トンネル内の駅です。ユングフラウヨッホ方面の列車は5分停車し、乗客は展望台から氷河を眺めることができます。
ユングフラウヨッホ駅（Jungfraujoch）
標高3454メートルに位置する、ヨーロッパで最も高い鉄道駅です。駅周辺は年間を通して雪に覆われており、雪上アクティビティが楽しめます。スフィンクス展望台からは、アレッチ氷河などの雄大な景色を一望できます。

運行ダイヤ

クライネ・シャイデック - ユングフラウヨッホ間の通し列車のほか、アイガーグレッチャー - ユングフラウヨッホ間の区間列車が運行されることがあります。区間列車は、アイガーエクスプレスとの乗り継ぎに配慮した運行となっています。

車両

現在、ユングフラウ鉄道では主にラック式電車が使用されています。
BDhe2/4形
BDhe4/8形
Bhe4/8形

開業当初から使用されていた電気機関車は、歴史的車両として1機、事業用として3機が残されています。
He2/2形

ユングフラウ鉄道は、その歴史と雄大な景観から、世界中の旅行者にとって特別な体験となるでしょう。

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