ユートピア (小惑星)

小惑星ユートピア (1282 Utopia) について

ユートピアは、小惑星帯の外側領域に位置する小惑星であり、その直径は約55kmと推定されています。1933年8月17日に、南アフリカの天文学者シリル・ジャクソンによって発見され、仮符号1933 QM1が与えられました。その後、理想的な社会を意味する「ユートピア」にちなんで命名されました。

軌道と分類

ユートピアは、小惑星族に属さない独立した小惑星です。太陽から2.7〜3.5天文単位の範囲を約5年6ヶ月（2010日）かけて公転しています。その軌道離心率は0.12、黄道に対する軌道傾斜角は18°です。1930年にはシメイズ天文台で観測され、1930 CAという仮符号が与えられていましたが、正式な発見は1933年のヨハネスブルクでの観測によって確認されました。

物理的性質

ユートピアは、広視野赤外線探査機による観測から、暗く原始的なP型小惑星に分類されています。また、炭素質のC型小惑星である可能性も指摘されています。

自転周期と極

ユートピアの自転周期については、2000年11月にブライアン・ワーナーによる測光観測が行われ、13.61時間の周期で0.28等級の光度変化が確認されました。これにより、以前の数値が修正されました。さらに、2005年にはローレン・ベルナスコーニらによって、13.623時間の自転周期と0.36等級の振幅が観測されています。2011年には、Uppsala Asteroid Photometric Catalogue(UAPC)などのデータを用いて、13.6228時間というより正確な値が得られています。

直径とアルベド

IRAS、あかり、NEOWAISEなどの観測データによると、ユートピアの直径は53.07〜64.71km、表面アルベドは0.035〜0.627とされています。Collaborative Asteroid Lightcurve Link(CALL)では、絶対等級10.3に基づき、アルベドを0.0479、直径を52.91kmと推定しています。

名前

小惑星ユートピアは、理想的な社会や場所を意味する「ユートピア」にちなんで命名されました。この言葉は、イギリスの政治家で作家であるトマス・モアが著書『ユートピア』で作り出した造語です。この本では、南アメリカ沖の南大西洋に浮かぶ架空の島社会が描かれています。公式な命名に関する記述は、ポール・ハーゲットが1955年に著した「The Names of the Minor Planets」に記載されています。

まとめ

小惑星ユートピアは、その発見から命名、そして物理的特性の解明に至るまで、多くの天文学者たちの観測と研究によってその姿が明らかになってきました。今後もさらなる研究が進むことで、ユートピアに関する新たな発見が期待されます。

参考資料

Asteroid Lightcurve Database (LCDB), query form (info Archived 16 December 2017 at the Wayback Machine.)
Dictionary of Minor Planet Names, Google books
Asteroids and comets rotation curves, CdR – Observatoire de Genève, Raoul Behrend
Discovery Circumstances: Numbered Minor Planets (1)-(5000) – Minor Planet Center

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