ユーロライナー (鉄道車両)

ユーロライナー

ユーロライナーは、日本国有鉄道（国鉄）が1985年に改造を施し、1987年の国鉄分割民営化以降、東海旅客鉄道（JR東海）が2005年まで運用していた特別な客車です。この車両は欧州のデザインを取り入れた客車の一種であり、通称「ジョイフルトレイン」とも呼ばれました。

概要

このユーロライナーは、東京の「サロンエクスプレス東京」、大阪の「サロンカーなにわ」に続く第3の欧風客車として、名古屋鉄道管理局向けに登場しました。1983年に開始された「NEXT和式プロジェクト」の一環として、12系客車を改造し、1984年12月から名古屋工場で改造工事が進められ、翌年には完成を見ました。ユーロライナーでは、客車と統一感を持たせるために牽引機関車にも専用のカラーリングが施され、以降、他のジョイフルトレインでもこのスタイルが取り入れられるようになりました。改造にかかる費用は、総額で2億5,000万円に達しました。

車両の特徴

ユーロライナーのデザインは、シンプルさと透明感、開放感を重視しています。車両の塗装は、明るい青色がかった灰色のライトブルーイシュグレーに、群青色のウルトラマリーン帯が施されています。展望車には、独自の「EUROLINER」ロゴが配置され、当初は特急形電車に見られるJNRマークも掲示されていましたが、その後JRマークに変更されています。

編成

ユーロライナーは全7両による編成で構成され、主な車両は以下のとおりです：

• - 1号車: 展望車
• - 2号車: 個室車
• - 3号車: 個室車
• - 4号車: カフェラウンジ車
• - 5号車: 個室車
• - 6号車: 個室車
• - 7号車: 展望車

カフェラウンジ車を除く各車両は、30人定員で、特に個室車にはトイレ・洗面所が設置されなかったため、側面には専用の連結方式が採用されていました。カフェラウンジ車は簡易食堂車として機能し、自由に利用できる空間として提供されました。

個室車

個室車は、6人部屋と4人部屋が交互に配置され、上がカーペット敷きになっています。屋根の高さは通常より高めに設計され、側面窓も広く取られています。クッション付きのソファシートやリクライニングシートが備えられ、ビデオモニターやオーディオ機器が各部屋に完備されているのが特徴です。冬季のスキー臨時列車用にスキー収納スペースも設けられています。

展望車

展望車は大きなガラス張りの展望室を持ち、リクライニングシートが配置されています。冷暖房装置は従来通り設置されていますが、特に展望室では温風暖房が導入されています。

カフェラウンジ車

カフェラウンジ車は、乗客が自由に利用できるスペースで、ビュフェとカラオケステージが設けられており、多目的に利用されました。音声回線はステレオ形式であり、特に音楽ソフトも楽しむことができました。

専用機関車

ユーロライナーの運行には、専用の電気機関車とディーゼル機関車が用意され、特別な塗装が施されました。1985年に運行が始まり、以降も様々なイベント列車や団体専用列車で利用され、多様なニーズに応えてきました。

運用と廃止

1985年に始まったユーロライナーは、多くの臨時列車にも使用され、特に団体専用列車やイベント列車で活躍しました。しかし、客車の老朽化が進む中、2005年に運行が終了し、その役目を終えました。ユーロライナーは、一時代を築いた特別な列車として記憶されています。

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