ヨツバヒヨドリ

ヨツバヒヨドリ（四葉鵯）

ヨツバヒヨドリ（学名：Eupatorium glehnii）は、キク科ヒヨドリバナ属に属する多年草の一種です。ヒヨドリバナの亜種や変種として扱われることもあります。

特徴

形態: 草丈は約1m。茎は直立し、下部からは分枝しません。葉は通常3-5輪生ですが、特に4輪生することが名前の由来となっています。葉にはごく短い葉柄があるか、または葉柄がありません。葉身は長楕円形または長楕円形披針形で、長さは10-15cm、幅は3-4cm程度です。
花: 5-6個の白色または薄紅紫色の頭花が、密に散房状につきます。花は両性の筒状花が集まったもので、花冠の先は浅く5つに裂けています。花柱は花冠よりも長く突き出し、先端は2つに分かれています。総苞は長さ約5mmで、乾いた膜質です。
花期: 7月から9月にかけて花を咲かせます。
果実: そう果は長さ約3mmで、腺点があり、5稜形をしています。

ハコネヒヨドリ

葉が披針形で幅1-2 cmとヨツバヒヨドリよりも細いものは、ハコネヒヨドリ（学名：Eupatorium chinense L. subsp. sachalinense (F.Schmidt) Kitam. ex Murata var. hakonense (Nakai) Kitam. ex Murata）と呼ばれます。ハコネヒヨドリはヨツバヒヨドリよりも低い山地に生育し、本州（関東地方以西）や四国に分布します。

分布と生育環境

ヨツバヒヨドリは、南千島、サハリン、日本に分布しています。日本では北海道、本州（近畿地方以東）、四国で見られます。北海道では湿原に、本州では標高1,000m以上の山地の深山に生育し、林縁や草地などで見られます。

保全状況

環境省による国レベルのレッドリストには指定されていませんが、いくつかの都道府県ではレッドリストに指定されています。

絶滅危惧IB類: 茨城県、和歌山県
絶滅危惧種: 奈良県
情報不足: 香川県

参考文献

大川勝德『伊吹山の植物』幻冬舎ルネッサンス、2009年
門田裕一、畔上能力、永田芳男、菱山忠三郎、西田尚道『山に咲く花』（増補改訂新版）山と溪谷社、2013年
佐野光雄『イラストで見る富士山の草花』東洋館出版社、2019年
佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』平凡社、1981年
高村忠彦（監修）『季節の野草・山草図鑑―色・大きさ・開花順で引ける』日本文芸社、2005年
林弥栄『日本の野草』山と溪谷社、2009年
林弥栄『野草 見分けのポイント図鑑』（新装）講談社、2014年
牧野富太郎『原色牧野植物大図鑑』北隆館、1982年
村瀬忠義『伊吹山お花事典』伊吹山ドライブウェイ、2010年

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