ヨハン・ヘルベック

ヨハン・ヘルベック（1831年12月25日 - 1877年10月28日）は、オーストリアのウィーンで生まれ、同地で没した指揮者であり、作曲家でもあります。彼の音楽への情熱と才能は、ウィーンの音楽界に多大な影響を与えました。

生い立ちと音楽への転身

ヘルベックは、ボヘミア出身の仕立て屋の夫婦の間に生まれました。当初はウィーン大学で哲学と法学を学んでいましたが、音楽への強い関心から音楽家の道へと進むことを決意します。音楽の専門教育を受ける機会は少なかったものの、ほぼ独学で音楽の知識と技術を習得しました。

ウィーンでの活躍

ヘルベックは、いくつかの合唱団で指揮者を務め、その才能を発揮しました。その後、ウィーン音楽院の教授に就任し、後進の指導にもあたりました。さらに、ウィーン楽友協会の指揮者として、数々のコンサートを成功に導きました。そして、ウィーン宮廷歌劇場の総監督という要職に就任し、その手腕を高く評価されました。

音楽史における功績

ヘルベックの最大の功績の一つは、長らく散逸していたシューベルトの交響曲第7番の自筆譜を発見し、初演したことです。この発見は、音楽史における重要な出来事として記録されています。また、ブラームスの《ドイツ・レクイエム》の一部や、ワーグナーの歌劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のウィーン初演を成功させ、ウィーン楽壇における名声を確固たるものとしました。

ヘルベックは、ブルックナーの熱烈な支持者としても知られています。彼はブルックナーの作品を積極的に紹介し、その普及に貢献しました。ベルリオーズはヘルベックを「最上級の指揮者」と称賛し、その才能を高く評価しました。

その他の活動と死

ヘルベックは、自作の交響曲第4番『オルガン』や交響的変奏曲などの作品も残しています。しかし、ブルックナーの交響曲第3番や自身の交響曲第4番の初演に立ち会うことなく、肺炎のため急逝しました。

死後、その功績を称えられ、オーストリア王室より勲三等を授与されるとともに、騎士爵を追贈され、「ヨハン・リッター・フォン・ヘルベック」となりました。

主な作品

交響曲第4番『オルガン』
交響的変奏曲

参考文献

* Grove's Dictionary of Music and Musicians, 5th edition, 1954; ed. Eric Blom

もう一度検索