ヨーロッパノスリ

ヨーロッパノスリ（Buteo buteo）の詳細解説

ヨーロッパノスリは、タカ目タカ科ノスリ属に属する中型の猛禽類で、ユーラシア大陸に広く分布しています。その適応能力の高さから、様々な環境で見ることができ、生態系の重要な役割を担っています。

分布

ヨーロッパノスリは非常に広い分布域を持っており、繁殖地と越冬地、そして留鳥として生息する地域があります。

繁殖地: アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、アイルランド、モナコ、ノルウェー、ロシア、セルビア、カナリア諸島など、ヨーロッパ各地に広がっています。
越冬地: ヨルダン、パレスチナ、スーダンといった中東地域や、アフリカ大陸の広範囲（中部、北部、東部、西部、南部）、さらにはサウジアラビア、ブータン、バングラデシュ、スリランカなど多様な地域で越冬します。
留鳥: ヨーロッパからトルコ、コーカサス地方、中央アジア、イラク、イラン、アラブ首長国連邦、イエメン、パキスタン、インド、ネパール、中国、南スーダンなど、一年を通して同じ地域に生息する個体群も存在します。
迷鳥: まれに、西アフリカ、フェロー諸島、アイスランド、カタール、モルディブといった地域で観察されることがあります。

形態

ヨーロッパノスリは、体長が51-57cm、翼長が110-150cm程度の中型の猛禽類です。体色には個体差があり、茶褐色から黒褐色まで様々なバリエーションが見られます。翼の下面には特徴的な模様があり、飛翔時に識別するポイントとなります。

亜種

ヨーロッパノスリには、いくつかの亜種が存在し、それぞれ分布域や形態に違いが見られます。

Buteo buteo rothschildi：アゾレス諸島に分布。
Buteo buteo bannermani：カーボベルデに分布。ヨーロッパノスリとは別種として扱われる場合もあります。
Buteo buteo buteo：ヨーロッパの東部と北部、ルーマニア、トルコで繁殖し、アフリカの南部と西部で越冬。
Buteo buteo harterti：マデイラ諸島に分布。
Buteo buteo insularum：カナリア諸島に分布。
Buteo buteo arrigonii：コルシカ島とサルデーニャ島に分布。
Buteo buteo pojana：イタリア中南部に分布。
Buteo buteo menetriesi：トルコ東部、クリミア半島南部、コーカサス地方周辺に分布。別種として扱われることもあります。
Buteo buteo vulpinus：フィンランドからロシア、コーカサス地方、中央アジアに分布。こちらも別種として扱われることがあります。

生態

ヨーロッパノスリは、標高2500m以下の山地から低地の森林、低木地、草原、湿原、湖、農耕地など、多様な環境に生息しています。開けた場所で狩りを行うことが多く、主な食料は小型哺乳類です。しかし、地域によっては無脊椎動物を主に食べることもあります。繁殖期には、森の端にある木などに巣を作り、1つの巣に1-5個の卵を産みますが、通常は2-3個です。

関連項目

ノスリ

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