ライト R-790

ライト R-790 ワールウィンドは、1923年にアメリカのカーチス・ライト社によって開発された航空用エンジンです。このエンジンは、後に続くワールウィンドシリーズの最初のモデルとして位置づけられ、航空史において重要な役割を果たしました。

設計と特徴

R-790 ワールウィンドは、空冷式の9気筒単列星型エンジンとして設計されました。この設計は、当時としては先進的であり、エンジンの冷却効率を高め、信頼性を向上させることに貢献しました。各シリンダーのボアは4.5インチ（114.3mm）、ストロークは5.5インチ（139.7mm）で、総排気量は788立方インチ（12.91リットル）でした。乾燥重量は236kgであり、200馬力の出力を発揮しました。

主な搭載機

R-790 ワールウィンドは、その優れた性能から、1920年代の多くの航空機に搭載されました。特に有名なのは、チャールズ・リンドバーグが大西洋単独無着陸飛行に成功したスピリットオブセントルイス号です。その他、フォード トライモーターやボーイング・ステアマン モデル75といった機体にも搭載され、当時の航空業界を支えました。

ワールウィンドシリーズとサイクロンシリーズ

R-790 ワールウィンドは、ワールウィンドシリーズの基礎となり、その後も様々な派生型が開発されました。例えば、ライト R-540 ワールウィンド、ライト R-760 ワールウィンド、ライト R-975 ワールウィンドなどが挙げられます。また、ライト社はワールウィンドシリーズの技術を基に、より強力なサイクロンシリーズも開発しました。サイクロンシリーズには、ライト R-1820 サイクロン、ライト R-2600 ツイン・サイクロン、ライト R-3350 デュプレックス・サイクロンなどがあり、第二次世界大戦中に活躍した航空機にも搭載されました。

航空史における意義

ライト R-790 ワールウィンドは、1920年代の航空技術の進歩を象徴するエンジンであり、その後の航空機開発に大きな影響を与えました。特に、スピリットオブセントルイス号に搭載されたことで、その名声は世界中に広まりました。また、ワールウィンドシリーズとして、様々な航空機に搭載され、航空輸送の発展に貢献しました。ライト社の技術は、その後のサイクロンシリーズへと引き継がれ、航空機の高性能化に寄与しました。R-790 ワールウィンドは、航空史において重要な位置を占めるエンジンと言えるでしょう。

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