ライヴ・フロム・ニューヨーク・シティ 1967

サイモン&ガーファンクルの膨大な公式音源コレクションの中で、『ライヴ・フロム・ニューヨーク・シティ 1967』は、彼らの輝かしいキャリアの中でも特に重要な時期である1960年代のライブパフォーマンスを、初めてまとまった形で公式に発表したアルバムとして位置づけられます。

この作品に収められているのは、1967年にニューヨークの由緒あるフィルハーモニック・ホール（現在はディヴィッド・ゲフィン・ホールとして知られています）で開催されたコンサートの模様です。当時のサイモン&ガーファンクルはまさに絶頂期を迎えており、彼らの繊細でありながらも力強いハーモニーと、ポール・サイモンの文学的な歌詞が多くの聴衆を魅了していました。このライブアルバムは、そうした彼らの生演奏が持つ独特の空気感や観客との一体感を、そのまま真空パックしたかのような臨場感で伝えてくれます。

収録されたセットリストは、当時の彼らのレパートリーを網羅する豊富な内容となっています。初期の作品である「私の兄弟」や「木の葉は緑」から、「早く家へ帰りたい」、「アイ・アム・ア・ロック」、「冬の散歩道」、「サウンド・オブ・サイレンス」といった世界的なヒット曲、さらに「地下鉄の壁の詩」や「とても変わった人」のような深いメッセージを持つ楽曲まで、全19曲が収められています。ポール・サイモンが手掛けたオリジナル曲に加え、デイビー・グラハム作曲のインストゥルメンタル「アンジー」や、トラディショナルを彼ら独自にアレンジした「ベネディクタス」など、当時の音楽的な幅広さを示す選曲も魅力です。

ただし、本作に収録されている楽曲のうち4曲（具体的にはトラック12「ブレスト」、13「地下鉄の壁の詩」、14「アンジー」、18「教会は燃えている」）は、このアルバムが正式にリリースされるのに先立ち、1997年に発表されたボックスセット『オールド・フレンズ』の中で既に耳にすることができました。しかし、それらの楽曲も、この『ライヴ・フロム・ニューヨーク・シティ 1967』という一つのコンサート全体の流れの中に置かれることで、新たな文脈と価値を持って響きます。

このアルバムは、サイモン&ガーファンクルが最もクリエイティブで影響力を持っていた時期のライブでの姿を知る上で、非常に貴重な資料と言えます。スタジオ盤で聴かれる完璧に作り上げられたサウンドとは異なり、生身の彼らの演奏、アコースティックギターと二人の声が織りなすシンプルなアンサンブル、そして観客の熱気が一体となったパフォーマンスは、彼らの音楽の根源的な魅力を改めて感じさせてくれます。まさに、当時の彼らがライブでどのような魔法をかけていたのかを追体験できる、ファン必聴のアルバムと言えるでしょう。

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