ラエ・サラモアの戦い

ラエ・サラモアの戦い

概要

ラエ・サラモアの戦い（1943年1月7日 - 9月16日）は、第二次世界大戦のニューギニア戦線において、日本軍が占拠していたラエとサラモアを連合軍が奪還した戦闘です。この戦いでは、標高4,100メートルのサラワケット山系を超えて日本軍が撤退しました。

背景

ニューギニア島のラエとサラモアは、日本軍のラバウル基地と連合軍のポートモレスビー基地の中間にあり、両方に適した飛行場と港が存在していました。1942年3月、日本軍は何の抵抗もなくこれらの地域を占領しましたが、その後、連合軍は空母機動部隊による空襲を実施し、周辺の艦船に大きな被害を与えました。

連合軍はその後、オーストラリア軍独立部隊「カンガ・フォース」をワウに空輸し、日本軍の動きを監視しつつ、ゲリラ攻撃を行いました。1943年1月、連合軍の攻撃が続く中、日本軍はラエ・サラモアが次の標的になると予測しました。これに対抗するため、日本軍はこれらの地区の防衛を強化しました。

日本軍の準備

日本軍は大本営からの命令によって、ラエとサラモアの防衛を強化するために第51師団を派遣しました。連合軍が反攻を開始する兆しが見え、サラモアにおける位置を確保することが重要視されました。このため、日本軍はワウを確保し、そこを基点とする計画を立てました。

戦闘の経過

第十八号作戦

1943年1月5日、日本軍は「第十八号作戦」を発動し、歩兵第102連隊をラエに輸送しました。空襲の中でもラエへの上陸は成功しましたが、輸送船団は連合軍の攻撃を受け、いくつかの船が沈没しました。

ワウの戦い

岡部支隊はラエからワウへの進軍を試みましたが、予想以上の厳しい環境に苦しむこととなりました。オーストラリア軍もすでにワウの防衛に移動しており、日本軍の進撃は困難を極めました。結局岡部支隊は食糧不足と民間人の支援不足に直面し、後続を余儀なくされました。

第八十一号作戦

その後、日本軍は「第八十一号作戦」を実施し、さらなる兵力をラエへ輸送しましたが、連合軍の空軍攻撃により大きな損害を受けました。多くの兵士が戦死し、装備を失う結果となりました。

サラモアの戦い

6月から7月にかけて、日本軍はサラモアでの防衛を強化しましたが、連合軍も攻勢を強め、厚い砲撃の下で次第に前進を図りました。アメリカ軍も日本軍の背後を狙い、サラモア周辺の制空権を確保しましたが、サラモアは連合軍の主目的ではありませんでした。

ラエの陥落

1943年8月、連合軍はラエへの攻撃を開始。まず日本軍の後方陣地を狙い、同時にラエ周辺の制空権を完全に奪いました。9月4日、連合軍はラエへの攻撃を本格化し、数日後にはラエが陥落しました。日本軍は退路を封鎖され、サラワケット山系を越える困難な撤退を強いられました。

戦後の影響

この戦いによる日本軍の損失は甚大であり、約1万人が戦死・病死しました。ラエ・サラモアの失陥により、日本軍のポートモレスビー攻略の希望は失われ、その後の戦局に大きな影響を及ぼしました。連合軍はこの勝利を機に次の攻撃へと進む一方で、日本軍は苦境に立たされ続けました。

参考文献

• - 防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書 14 南太平洋陸軍作戦（1）ポートモレスビー・ガ島 初期作戦』
• - 田中宏巳『マッカーサーと戦った日本軍---ニューギニア戦の記録』
• - 森山康平『米軍が記録したニューギニアの戦い』
• - 各種公刊戦史

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