ラオスの
鉄道は、国土を横断する重要な交通インフラとして、近年急速に発展を遂げています。2021年12月現在、ラオスには二つの主要な
鉄道路線が存在し、それぞれが異なる国と接続しています。一つはタイと接続するラオス
鉄道公社が運営する路線、もう一つは中国と接続するラオス・中国
鉄道です。これらの路線は、ラオスの経済発展と地域間の連携強化に大きく貢献しています。
歴史
ラオスの
鉄道の歴史は、
フランス領インドシナ時代にまで遡ります。1893年、
メコン川の急流地帯であるチャンパーサック県シーパンドンでは、船舶輸送の代替としてデット島とコーン島を結ぶ
鉄道が敷設されました。この6.5kmの
鉄道は当初600mm
軌間でしたが、後に1000mmに
改軌されました。しかし、この
鉄道は第二次世界大戦後に廃止され、その遺構が今も残されています。その後約60年間、ラオスには
鉄道が存在しない時代が続きました。
1950年代、ラオスはタイとの
国境を跨ぐ
メコン川にタイ=ラオス友好
橋を建設し、物資輸送の円滑化を図りました。1994年に
橋が開通しましたが、
橋の中央を通る
鉄道は未完成のままでした。1995年にラオス
鉄道公社が設立され、1997年にはタイの企業との合弁事業が始まりましたが、1999年に破棄されました。2000年、タイからの無償援助によって
鉄道建設が再開され、
2009年にはタイ=ラオス友好
橋で線路結合式典が行われ、正式に開通しました。
さらに、中国との間で昆明とラオスを結ぶ
鉄道建設が計画され、2015年に両国間で正式に調印されました。2016年に着工し、2021年12月には全線が開業しました。
現在、ラオス国内で
鉄道を運営している主な事業者は以下の二つです。
ラオス鉄道公社(Lao Railway Authority):タイと接続する路線を運営しています。
ラオス・中国鉄道(Laos-China Railway Co., Ltd.):中国と接続する路線を運営しています。
運行状況
ラオス鉄道公社
ラオス
鉄道公社の路線は、タイのノーンカーイ駅からタイ=ラオス友好
橋を渡り、ターナレーン駅を経由して
ヴィエンチャン駅に至ります。この路線は全線
非電化の
単線で、
軌間は1000mmです。
2009年3月にターナレーン駅で開通式が行われ、ラオス独立後初の
鉄道が開業しました。当初は旅客輸送が中心でしたが、2019年からは貨物輸送も開始されました。さらに、2023年には
ヴィエンチャン駅まで延伸し、2024年7月には同駅での旅客営業も開始されました。現在、タイの
バンコクやウドーンターニーとを結ぶ国際列車が運行されています。
ラオス・中国鉄道
ラオス・中国
鉄道は、ラオスの首都
ヴィエンチャンと中国
国境のボーテンを結ぶ路線です。この路線は、
ヴィエンチャンと中国のシーサンパンナを結び、全長421kmに及びます。
標準軌で、76本の
トンネルと154本の
橋梁が建設されています。
旅客列車は最高速度160km/h、
貨物列車は120km/hで運転されます。ヴァンヴィエンやルアンパバーンなどの主要駅を含む20駅が設置され、最終的には31駅となる予定です。
この
鉄道は、中国との共同プロジェクトとして建設され、中国からの資金援助を受けました。2021年12月に全線が開業し、ラオスの経済発展に大きく貢献しています。
将来計画
ラオスでは、現在以下の
鉄道計画が進行中です。
サワンナケート・ラオバオ鉄道計画:タイ国境のサワンナケートとベトナム国境のラオバオを結ぶ全長220kmの鉄道建設計画。2017年の開業を目指していましたが、2021年現在まだ建設は開始されていません。
ヴィエンチャン・ブンアン鉄道計画:
ヴィエンチャンからベトナムのブンアンまでの全長555kmの
鉄道建設計画。ベトナムの企業が提案し、2022年中の着工を目指していましたが、進捗は不明です。
隣接国との鉄道接続状況
ラオスは、周辺国との
鉄道接続を通じて、地域間の連携を強化しようとしています。現在の接続状況は以下の通りです。
ミャンマー:接続なし
中華人民共和国:接続あり
ベトナム:接続計画中
カンボジア:接続なし
タイ:接続あり
まとめ
ラオスの鉄道は、歴史的な背景と周辺国との関係の中で発展してきました。ラオス鉄道公社とラオス・中国鉄道の二つの主要路線は、国内の物流と人の移動を大きく変え、経済発展を支える重要な役割を果たしています。将来の鉄道計画も進行しており、さらなる発展が期待されます。
参考文献
ラオス公共事業運輸省
鉄道局 (ラーオ語) (
英語)
ກອງຄຸ້ມຄອງທາງລົດໄຟ Authority of Railway Management (100064829854643) - Facebook
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