ラキウラ国立公園

ラキウラ国立公園：ニュージーランド、スチュアート島の秘境

ラキウラ国立公園は、ニュージーランド南端に位置するスチュアート島（マオリ語名：ラキウラ）の約85%を占める広大な国立公園です。2002年に設立され、手つかずの自然が色濃く残るこの場所は、多様な動植物の宝庫であり、訪れる人々を魅了する数々の景勝地を有しています。

ラキウラの名前の由来

ラキウラとは、マオリ語で「空が赤く燃える場所」という意味を持ちます。この名は、冬季に見られるオーロラや、一年を通して楽しめる壮麗な夕焼けに由来すると言われています。夜空を彩る神秘的な光景は、訪れる人々に忘れがたい印象を与えるでしょう。

地理的特徴

公園内には、スチュアート島の最高峰であるアングレム山（標高980メートル）をはじめ、全長25キロメートルのフレッシュウォーター川が流れています。フレッシュウォーター川流域には広大な湿地帯が広がり、独特の生態系を育んでいます。島の西部にはメイソン湾と呼ばれる滑らかな海岸線が広がり、美しい砂浜が続いています。また、ネイティヴ島、ウルヴァ島、マッドフラット島、アンカレッジ島など、スチュアート島に隣接する島々も国立公園に含まれています。

歴史

考古学的調査によれば、スチュアート島には13世紀からマオリが居住していたと考えられています。ヨーロッパ人が初めてスチュアート島に到達したのは、1770年のジェームズ・クックの航海でした。クックは当初、スチュアート島と南島が陸続きであると考えていましたが、その報告書には、アザラシや鯨の宝庫であることが記されています。1818年には、スチュアート島周辺のコッドフィッシュ島にヨーロッパ人が定住を開始しました。1826年には造船所が建設され、金や錫の採鉱、漁業が本格化しました。1864年には、スチュアート島のマオリから広大な土地が買収され、開発が進められましたが、徐々に島の中心はオーバンへと移っていきました。

生態系

植物相

ラキウラ国立公園の植生は、マキ科の植物が中心です。リムノキ、ポドカルプス・ダクリディオイデス（マオリ語: Kahikatea）、トタラなどが多く見られます。フレッシュウォーター川の湿地帯には、マキ科の森林が広がり、その下には灌木のマヌカが生い茂っています。この湿地帯は、多くの野鳥にとって重要な生息地となっています。

動物相

ラキウラ国立公園は、まさに野鳥の楽園です。特に、キーウィの亜種であるスチュアートアイランドキーウィの一大生息地であり、約2万羽が生息しています。また、フクロウオウム（マオリ語でKakapo）の最後の生息地の一つでもあります。フクロウオウムは夜行性の鳥で、キーウィや絶滅したモアと同様に飛べない鳥です。1977年に、スチュアート島でメスのフクロウオウムが発見されたことがきっかけとなり、保護政策が本格化しました。ネコなどの害獣から守るため、フクロウオウムはスチュアート島沖のコッドフィッシュ島に移されています。

キーウィやフクロウオウム以外にも、アオハシインコ、ニュージーランドバト、エリマキミツスイ、ニュージーランドミツスイ、ニュージーランドヒタキ、ニュージーランドクイナ、ニュージーランドコマヒタキ、シダセッカ、カカ、セアカホオダレムクドリなど、多様な鳥類が生息しています。ニュージーランドチドリやハジロシロハラミズナギドリなども訪れることがあります。フレッシュウォーター川河口のパターソン・インレットは、ダイビングスポットとして知られていますが、ニュージーランド有数の海草の生育地であり、貝類や腕足動物の生息地でもあります。

アクティビティ

ラキウラ国立公園では、トレッキング（トランピング）を楽しむことができます。スチュアート島の舗装道路はわずか25キロメートルですが、トレッキングコースの総延長は245キロメートルにも及びます。ニュージーランド・グレート・ウォークスの1つである全長32キロメートルのラキウラ・トラックをはじめ、スチュアート島北西部を縦走する全長125キロメートルのノース・ウェスト・サーキットや、スチュアート島南部を縦走する全長71.5キロメートルのサザン・サーキットなど、本格的なトレッキングコースが整備されています。また、国立公園内には、30分から2時間程度の短いトレッキングコースも複数あります。ウルヴァ島にも短いトレッキングコースがあります。

ダイビングやシュノーケリングも人気のアクティビティです。主なダイビングスポットは、パターソン・インレットやウルヴァ島です。

ラキウラ国立公園は、手つかずの自然の中で、多様なアクティビティを楽しめる魅力的な場所です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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