ラックザー

ラックザー（Rạch Giá）は、ベトナムのキエンザン省に位置する、タイランド湾に面した重要な港湾都市です。ベトナム語での正式名称は「Thành phố Rạch Giá」であり、現地では「ラックヤー」と発音されることもあります。中国語では「迪石」と表記されます。

歴史と概要

ラックザーは、ホーチミン市の南西約195kmに位置し、かつてはカンボジア領でした。1715年に広南国（後の阮朝）による南進政策によりベトナム領となり、現在の形を形成しました。旧カンボジア名は「Kramuon-Sa」です。

この都市は、キン人（ベトナム人）を中心に、クメール人、ホア人（華人）など多様な民族が共存する地域として知られています。近年では、海外に移住したベトナム人（越僑）による投資が盛んに行われており、市の南西部では新しい都市開発が進んでいます。

地名の由来には諸説あり、クメール語で「白い蝋」を意味する「krâmuŏnsâ」が語源とする説や、ベトナム語で「モヤシ濠」を意味する言葉が由来であるとする説などがあります。

交通

ラックザーは、空路、陸路、海路の交通の要所です。

空路: 市街中心部から南西約10kmに位置するラックザー空港からは、ベトナム航空がホーチミン市とフーコック島を結ぶ便を運航しています。
陸路: 空港近くにはキエンザン省バスターミナルがあり、メコンデルタ各地やホーチミン市へのバスが運行しています。長距離移動に便利です。
海路: 市街中心部の港からは、フーコック島のバイボン港、ハティエン、ホンチェ島など近隣の島々への船舶が運行しています。さらに、フーコック島に寄港し、カンボジアやタイを往復する旅客船が2007年から就航を開始し、3ヶ国共同での運航が行われています。これにより、ラックザーは周辺地域との観光や貿易において重要な役割を果たしています。

行政区分

ラックザーは以下の行政単位に区分されています。

1. ヴィンタインヴァン坊（Vĩnh Thanh Vân / 永清雲）
2. ヴィンタイン坊（Vĩnh Thanh / 永清）
3. ヴィンラク坊（Vĩnh Lạc / 永樂）
4. ヴィンバオ坊（Vĩnh Bảo / 永保）
5. アンホア坊（An Hòa / 安和）
6. ヴィンクアン坊（Vĩnh Quang / 永光）
7. ヴィンヒエップ坊（Vĩnh Hiệp / 永協）
8. ヴィントン坊（Vĩnh Thông / 永通）
9. ヴィンロイ坊（Vĩnh Lợi / 永利）
10. アンビン坊（An Bình / 安平）
11. ラックソイ坊（Rạch Sỏi / 瀝磊）
12. フィトン社（Phi Thông / 飛通）

これらの坊は、それぞれの地域特性を持ち、ラックザーの都市としての多様性を形成しています。

ラックザーは、歴史と文化が融合した魅力的な都市であり、ベトナム南部の経済と交通の要所として、今後もさらなる発展が期待されています。

外部リンク

ラックザーのフォトアルバム （英語）
* ラックザー空港

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