ラマッラー

ラマッラーの概要

ラマッラー（アラビア語：Rām Allāh）は、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区の中に位置する都市で、エルサレムから北に約10キロの距離にあります。これまでの歴史を背景に、ラマッラーは事実上のパレスチナ国の首都とされ、2021年の推定人口は約42,100人です。特に、パレスチナ自治政府はエルサレムを独立後の首都だと主張していますが、エルサレムは現在イスラエルの実効支配下にあるため、自治政府の実際の最高統治機関であるファタハ系の議長府はラマッラーに置かれています。

「ラーマッラー」という名前はアラム語の「至高の神」を意味する言葉に由来し、日本語表記には「ラマッラー」「ラマラ」「ラマッラ」などが使用されます。報道などでは「ラマラ」という表記が頻繁に見られ、著名な政治家ヤーセル・アラファートもこの地に埋葬されています。

歴史的背景

ラマッラーの歴史は16世紀半ばにさかのぼります。この時期、キリスト教徒のアラブ人によってラマッラーは築かれ、1596年にはオスマン帝国がこの都市の名を記録に残しています。町は17世紀から18世紀にかけて成長し、大シリアでのギリシャ正教会の影響を受け、19世紀初めにその教会も設立されました。カトリック教会も1890年代に設立され、聖ヨセフ女子学院などを運営しています。

19世紀中頃にはキリスト教徒とムスリムの両方の流入が見られ、モスクや各種教会が続々と設立されました。これにより、地域の教育や経済が活性化しました。このような流れの中で、一部の住民は経済的な成功を求めてアメリカなどの海外に移住しており、現在ではエホバの証人も進出しています。20世紀になると、他からの移住者が増え、キリスト教徒が多くを占めていた時代は変わりました。

1917年にはイギリス軍がラマッラーを占領し、1948年までイギリスの支配下にありました。特に1920年代からは経済も発展し、町には美しい建物が次々と建設されたのです。1936年にはエルサレムから電気が通じ始め、イギリスの州営放送局が「パレスチナ放送」を開始しました。1953年頃には人口が倍増しましたが、流入してくる貧困層に対し、富裕層はアメリカなどに移住し、逆にヘブロンなどから新たなアラブ人が流入してきました。

1948年から1967年までのヨルダンによる占領期間はラマッラーにとって比較的平和な時代でしたが、1967年の第三次中東戦争によってイスラエルがこの地を占領することとなり、町は閉鎖され、人口調査が実施されました。その後、ラマッラーには長年にわたってイスラエル軍が駐留し、不安定な状態が続きました。この都市は、後に第1次および第2次インティファーダの舞台ともなりました。

姉妹都市

ラマッラーは国際的な交流を重視し、以下の都市と姉妹都市関係を築いています：

• - ハウンズロー（イギリス）
• - オックスフォード（イギリス）
• - ボルドー（フランス）
• - リエージュ（ベルギー）
• - トロンハイム（ノルウェー）
• - ディヤルバクル（トルコ）
• - マスカティン市（アメリカ）
• - ヨハネスブルグ（南アフリカ）

まとめ

ラマッラーは歴史的な背景と現代の政治状況を経て、現在の形を持つようになりました。この地の文化や歴史を探ることは、パレスチナのアイデンティティを理解する上で重要な要素となります。

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